ミナクシ
□パラドックス
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「クシナ!」
私は呼ばれて振り返った。
渦潮の里を出て随分立つ。
「何?」
私はイライラしながら答える。
海潮ユウヒは肩をくすめて見せた。
「俺に当たったって仕方ないだろう」
呆れながらもユウヒは私に言った。
幼なじみのユウヒは、今回の任務は巻き添えだ。
きっと、彼の方が怒ってもいいはずなのに。
「……ごめんってばね」
私は申し訳ない気持ちになりながら小声で言った。
今回の任務は木の葉との合同任務。
……表向きはそうなっているけど、実際は私の未来の夫となる人物との顔合わせだ。
私は特別なチャクラを持っているせいで、木の葉に嫁入りが決まっている。
……九尾の次の器になるために。
本当は木の葉になんか行きたくない。
だけど、これは里同士の取り決め。
私の気持ちなんて関係ない。
だって、これは保反故にすれば戦争になってしまう。
五大里の木の葉と戦えるだけの戦力は渦潮の里にはないのだから。
私は思わず、ため息を吐いてしまった。
「……渦潮の里の方ですか?」
「っ!!」
そこには金髪の、私たちと同世代の少年が立っていた。
気配がまるでなかっただけに私とユウヒは身構える。
だけど、その少年は木の葉の額宛をしていた。