テニプリ小説
□カラオケデビュー
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『ふぅ…』
いつも通い慣れた図書館、そこでいつものように読書に勤む。
すると突如目の前に人が座った。広い図書館でわざわざ向かい合わせに座る必要など無いのに…と頭の中で愚痴るも視線は本に向けたままいた。
『み・づ・き・くん♪』
…声をかけられるまでは。
『…』
目の前に座る人物に視線を向ける。
ダークオレンジの頭髪。
自分を見つめてニコニコと愛想良く微笑んでいる。
『何かご用ですか?千石清純君』
『ああ、良かった。俺の事覚えててくれて』
『…近郊のテニス部員のデータは記憶してますから』
当たり前の事を言わないで欲しい、と暗に視線で訴える。
『そっかあ、何より何より♪』
『…はあ』
再び小さなため息を洩らすと再び視線を本に戻し読書を再開しようとする。
『そうそう俺ね、今日誕生日なんだよね』
こちらの態度はお構い無しなのか、気にする風でもなく会話を続けようとしている。
『ええ、知ってますがそれが何か?』
『冷たいな、せめて祝いの言葉のひとつやふたつ…』
『おめでとうございます』
間髪入れず答えてやる。
『うわ、棒読み…』
『誕生日なら家族や友達が祝う方が嬉しいでしょう?』