君との証を
□8契り
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「………多串くんに、沖田くん…?」
「………よ、久しぶりだな」
落ちつけ落ちつけと胸の中で反芻し、もう一度前に立つ女を見やった。
きらめく髪、スッと通った鼻筋、鮮やかな瞳。
(………っ!!)
このまま見つめているとなにか壊れる気がして、慌てて目を逸らす。
胸に再三湧き上がる恋情、と、同時に、
ひどく黒々とした、底のない嫉妬。
――ああ、どこの男なんだ。
決して人に証を残させないコイツに、唯一許された男。
共に人生を歩むことを許された、男。
どんな奴だ。
いつから、関係を。
―――――何故、自分では無かったんだ。
たまらなく湧きあがる劣等感。
ギリッ、と歯を食いしばって、そう肩を揺すぶり問い詰めたいのをこらえる。
「……土方さん、辛気臭ぇ顔以外なら、何でもいいって訳じゃねぇですぜ」
「はぁ?」
「そんな殺気立った顔やめてくだせぇ」
「……………」
いつもならしてねぇだの怒鳴り飛ばすところではあるが、今回ばかりは自覚がある。相手の男を殺す勢いだからな。
…………実際には、あいつが選んだほどの男なんだから、殺せるわけないんだけどよ…。
この半年、つくづく自分は小さい奴であったか思い知らされるようだ。
どうにか耐えて、思いつくままに話題を出す。ええと、話題、話題―――……
「そ、そういえばよ、万事屋の相手の男ってどんなやつなんだ?」
………………自爆。
前言撤回。自分は小さいだけじゃなく、とんでもない馬鹿であることも今学んだ。
…真選組の頭脳とか言われてるのが、だんだん申し訳なくなってくる。