群雄繚乱
□封豕長蛇
1ページ/3ページ
美濃の土岐氏を追放し、蝮のようなしぶとさで美濃の地を手に入れた斎藤道三。
土岐を奪った蝮が次に狙うのは尾張の国。
加納口の戦いにて勝利の美酒に酔うが、敗北した織田軍はおもわぬ拾い物をしていた。
「道三殿ー!!至急伝達です」
「ん?」
「今川に行く途中の松平竹千代が織田軍に強奪されました!!!」
「竹千代?誰だそいつは。」
「今川の人質…になるはずだった6歳の松平家のご子息です。」
「ふん。そうか。それが至急か?」
「あ…いえ。もうひとつ。織田家のご子息信長と道三殿の娘帰蝶の縁組の話が…織田から来ていまして。」
報告兵は恐る恐る道三の顔を見た。
大抵、庶民上がりの武将は自分の子供を溺愛していると思ったからだ。
しかし、道三の反応は報告兵の予想の斜め上を行っていた。
「そうだな…。一人娘とはいえ今の織田と手を結ぶのは悪くない。」
「え?!で……では縁組を了承するということで…」
報告兵は驚愕に声が裏返っている。
「待て。…そうだな。尾張の国に二人ほど諜報の奴を送れ。縁組はそれから決める。」
「は…。なぜ??」
「今の織田は負けたばかりだ。もう少し攻めて領土を奪おうか考えておるのだ。それに…信長とかいう人間が馬鹿であれば、殺して帰蝶をまた別のところに嫁がせる事ができる。違うか?」
報告兵の額に冷や汗が流れる。
まさか実の娘を完全に政治の道具として見れるとは…
流石は蝮といったところだろう。