群雄繚乱

□封豕長蛇
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美濃の土岐氏を追放し、蝮のようなしぶとさで美濃の地を手に入れた斎藤道三。


土岐を奪った蝮が次に狙うのは尾張の国。


加納口の戦いにて勝利の美酒に酔うが、敗北した織田軍はおもわぬ拾い物をしていた。

「道三殿ー!!至急伝達です」


「ん?」




「今川に行く途中の松平竹千代が織田軍に強奪されました!!!」



「竹千代?誰だそいつは。」


「今川の人質…になるはずだった6歳の松平家のご子息です。」






「ふん。そうか。それが至急か?」






「あ…いえ。もうひとつ。織田家のご子息信長と道三殿の娘帰蝶の縁組の話が…織田から来ていまして。」






報告兵は恐る恐る道三の顔を見た。
大抵、庶民上がりの武将は自分の子供を溺愛していると思ったからだ。



しかし、道三の反応は報告兵の予想の斜め上を行っていた。



「そうだな…。一人娘とはいえ今の織田と手を結ぶのは悪くない。」


「え?!で……では縁組を了承するということで…」
報告兵は驚愕に声が裏返っている。


「待て。…そうだな。尾張の国に二人ほど諜報の奴を送れ。縁組はそれから決める。」


「は…。なぜ??」



「今の織田は負けたばかりだ。もう少し攻めて領土を奪おうか考えておるのだ。それに…信長とかいう人間が馬鹿であれば、殺して帰蝶をまた別のところに嫁がせる事ができる。違うか?」




報告兵の額に冷や汗が流れる。

まさか実の娘を完全に政治の道具として見れるとは…

流石は蝮といったところだろう。
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