日和

□秘密
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ヒロイン視点


二人の仲がおかしくなってから一か月。
藤田の機嫌も直ったらしく、また前のような日常に戻ることができた。
登校はケンジと家を出て、途中のコンビニで藤田と合流する。学校内では同じクラスでも女子の友人と共に過ごし、昼休みはいつもの様に三人で屋上に行く。放課後は三人で教室を出て、帰路につく。
前と変わらずに過ごせたことが、とてつもなく嬉しかった。

それからさらに一か月。満月の日。
学校からの帰り道、三人で並んで歩く。藤田は迷いのある顔をしていた。ケンジが肘でつつくが、藤田は口を開きかけただけで言葉を発さなかった。
仕方無い、とでもいうようにケンジが話し始める。
「名無し、」
「何?ケンジ」
名前を呼ばれた私は少しばかり驚いてしまったが、表に出さないように応答する。
「今夜、俺の家に来てくんない?藤田もいるし、出来れば泊るつもりで。藤田が見せたいものがあるんだって」
「まぁ…わかった。行く」
小さい頃からお互いの家に泊まりあうことがなかったわけではないが、久々にケンジの家に泊まりに行くことに少しの躊躇いを感じ、一瞬考えてから了承した。
ケンジが話している間、藤田は一度も口を開かなかった。
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