リヴァ夢
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「…………」
壁外調査を終え、帰還しようとしていた兵士のあいだに長い沈黙が流れる。
「……兵長、その子は」
「拾った」
リヴァイ兵士長が小脇に抱えていたのは、年端もいかぬ小さな女の子だった。
「リヴァァァァァァァイ!!ッ!!ちっちゃいロリっ子誘拐してきたってほんとぉぉぉぉぅべふっ!!」
「黙れ」
奇声をあげて部屋に飛び込んできたハンジに手近にあった資料を投げつけて撃退した。
「まさかお前はそんな不名誉なことを叫びながらここにきたんじゃねぇだろうな、あ゙?」
「まさか!モブリットぐらいしかいなかったよ」
あははっと笑って見せてから、ソファーに横たわった女児の顔を覗きこむ。
「……で、この子が噂の『兵長がつれてきた女の子』?」
「間違っちゃいねぇ」
ハンジはまじまじと女の子を眺める。
何もかもが小さく未発達なその子の年齢はわずか十にも満たないであろう。
あどけない寝顔は年相応と言えるが、体とは反して長い黒髪はその子供のアンバランスさを際立たせていた。
「この子、壁外にいたって本当?」
「嘘つくメリットなんざあるか。そいつは森で落ちていた。回りには集落らしい所も無かったから連れてきた、それだけだ」
「ふーん」
壁に寄りかかって立つリヴァイは淡々と言う。
「ただ気掛かりなのは、」
「?」
「そいつの目が覚めないことだ」
「……」
ハンジは黙って女の子の額を撫でるとさら、と前髪が顔の横におちた。