うた☆プリ

□メリークリスマス トキ音
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あれから何時間経ったのだろうか。

どうやら俺はあのまま寝てしまったらしい。

「あ、音也。起きたんですね」

そう言って振り向いたトキヤは眼鏡をしていた。

見るとトキヤの手に本があるのが見えた。

眼鏡しているトキヤかっこいい…じゃなくて。

「ずっと俺の近くで本読んでたの?」

「はい」

「何時間?」

「今が23時30分くらいですから…5時間くらいですかね。
 案外仕事が早く終わって18時には帰ってこれたんです」

「そんなに!?起こせば良かったのに…」

「音也の寝顔を見ながら読書するのも良いと思ったんで起こせませんでした」

「だけど、トキヤ仕事で疲れてると思うし、寝てた方が良いんじゃ…」

「良いんです。だって約束したじゃないですか。ずっと一緒にいるって。
 まぁ、仕事で朝からは一緒にいれませんでしたけど、
 せめて、帰ってからはずっと、大好きな人といたいんです。
 それに大好きな人と一緒にいると、疲れなんか一瞬で吹っ飛びますしね」

そう言って綺麗に微笑むトキヤに、俺はたちまちカーッと顔を赤くした。


「反則だよ…トキヤの馬鹿」

「え?何か言いましたか?」

「…別に。そうだ、トキヤ」

「何です?」

「ごめん」

「…え?何を謝ってるんです?音也は何も悪くないのに」

トキヤは、何を言ってるのかわからない、みたいな顔をした。


そんなの俺もわからない。

でも、トキヤのさっきの言葉を聞いたら「ごめん」って謝らずにはいられなくなったんだ。


「俺さ、今日の約束ドタキャンされて子供みたいにすねちゃってさ、トキヤを困らせちゃったよね。
 後悔したんだよ、俺。『仕事頑張って』って応援してあげれば良かったって。
 俺のせいで怒らせちゃったかな、とも思った。
 でも全然そんな事なくて、トキヤは相変わらず優しくて…」

そこまで言うと、トキヤは俺を抱きしめてきた。
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