番外編【熱情】
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「――ここ」
「え、ほんとに?」
少年が淡々と言って指差した建物は、想像していたものより遥かに大きかった。
……広……というか、ここ知ってる。
何かの施設なのかと思っていたら、まさかこの少年の実家だったとは。
「適当に寛いでいいから」
「いやっそんなの無理で……」
「お帰りなさいませ!」
「!?」
まだ扉に手をかけただけだというのに、中から一人の家政婦が扉を開き出迎えた。
少年が遅かったことに対して怒っているのか、笑顔がひきつっており、額に(怒)マークが見えそうだ。
「あー、お前らまだ起きてんのか」
「当然です! 私達は貴方がお帰りになるまで待ってるんですからね!」
「うるせー……」
少年も悪い気はしていないらしく、家政婦さんとは親しいということがなんとなくわかる。
「……まぁ良いです。それよりそちらの方は?」
「あ、こいつ客人」
「坊っちゃんのお知り合いですか?」
「はい、あの、一応……」
「うん、ていうか、こいつ買うから。5000万で」
「「…………は!?!?」」
僕と家政婦さんの声が見事にハモッた。