第七話【学祭】
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――学園祭当日
「……エエエエエエ!!!」
ざわざわと一般の客が校内に現れるなか、俺は一人叫ぶ。
「ごめんなー潮」
啓太は笹部と一緒に見て回るらしく、一緒に回らない? という俺の誘いはアッサリと断られた。
神原は午前中仕事だし、どうしよう……。
こういう時、啓太以外の友達も作っておけば良かったと後悔する。
「本条クン、一人なの?」
「……わっ七尾……くん!」
ひょこっと横から顔を覗いてきたのは、なんと七尾だった。
七尾が話し掛けてくるタイミングがよくわからない。
「一人だけど……」
「ボクも一人なんだ。良かったら一緒に回らない?」
きゅるっと可愛らしい瞳が俺をとらえる。
ちょっと待て七尾が一緒に回る相手いないとか絶対嘘だろ!
いや、でも今七尾と一緒にいたら神原が何て言うかわからないし、ただでさえ神原は俺と別々に仕事振り分けられたことに怒ってたし、あまり刺激するようなことはしないほうが……。
「駄目、かな」
七尾の目にうっすらと涙の膜が張った。
「全っ然駄目じゃないです」
弱すぎるよ俺ェ……。