第九話【暗闇】

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今日の体育はバレーだ!

俺はジャージに着替えて、啓太とともに教室を飛び出した。

「バレーとかいつぶりだよ〜! 超久々じゃん!」

「いや、三日ぶりだけどね」

「およそ72時間ぶりか〜!」

馬鹿な会話を交わしながら廊下を走る。
バレーは楽しいし大好きだ。皆のテンションも心なしか高い。



「――ほい! 行ったぞ潮!」

「ヘーイ!」

ボカーン!!!!!

「…………」

得意か、不得意かは別として。



「ドンマイ潮」

「今日がクラスマッチだったらボコボコにしてたけどな」

「クラスマッチは休めよ!」

クラスメイトは、口々に笑顔で酷いことを言う。
でもこれも、前よりは友達が増えたっていう証拠なのかもしれな……。

「本条、お前下手だから片付け頼むわ〜」

いじめられてるわけじゃないよね?
これいじめと違うよね?

そんなことを思いつつ、授業が終わると俺はしぶしぶ床に転がったバレーボールを拾い集める。
啓太も七尾も先に帰りやがった……。
大体七尾だって運動できないのに、何なんだこの扱いの差は!

「七尾は可愛いからだろ」



「――っぎゃ嗚呼ああああああああああああああああああああああ!?!?!?!」

「うるせえ!」

「あ、神原か」

突然後ろから声が聞こえて、心臓が止まるかと思った。
振り向くとやけに寝癖の酷い神原が居て、俺は思わず吹き出した。

「うわっ、神原何その髪型……うぷぷ」

「うるせーな! 寝過ごしたんだよ!」

「いてててっ! ごめんなさい!」

寝過ごしたって、神原なら別に遅刻とか気にしないだろうに。
最近少しだけ真面目になったような。
まあそれでも遅刻はしてるんだけども。
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