第九話【暗闇】

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俺と神原は、屋上にいた。



俺の顔はあり得ないくらい真っ赤になっていて、神原は腹を抱えて笑っている。

「おま……なんで叫んだんだよっ……」

ふるふると身体を震わせて我慢していた神原だが、俺と目があうとまた噴き出して爆笑。
ああ……恥ずかしい。

「どのくらい好きか、表現したほうがいいかな……と思いまして」

「……っ……」

「笑いすぎだろ!?」

「ふっ…………はー、おかしい」



ひとしきり笑った神原は、「全校生徒に知れ渡ったな、お前がホモだって」と言った。
一番言ってほしくないことをサラッと言いやがって。

「……多分」

「ふん、そんな不細工な顔すんな」

「不細工て」

さて、と言って立ち上がり、神原が真剣な顔になった。



「で、八尋に盗撮されてたのか」

「あれ、言ったっけ?」

「先輩とやらが思い出せねぇんだよな。んな優しいやつを犯した覚えは無いんだが……」

「…………」

俺は何も言ってないというのに、なんでこんなに詳しいんだろう。
まさかとは思うが。

「神原……全部知ってんの?」

「ん? さぁな」

こええ。
どこからそんなプライベートな情報まで入ってくるんだろう。

「もうじきわかると思うんだが、遅いな」

「遅いって何が――」



――ピリリリリリリリッ!



「うわ!」

「あ、きた」

神原の携帯が鳴り、神原は話し始めた。
あー、とか、うん、とかしか言っていないので、何を話しているのかはわからない。
一分くらい話して、最後にアリガトーと言った神原はそのまま通話を切った。

「なに?」

「あーちょっとな。俺出かけてくるわ」

「ええ!?」

「お前は授業受けろ」

「ちょ……」

神原はそのまま屋上を出て行ってしまった。
また、一人残されてしまう俺。

でも、神原と話せた。

それだけで、俺は八尋に話す決心がついた。
単純だな!
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