第四話【秘密】
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「次、この問題を……」
あれから一週間が経った。
神原からの呼び出しは、一切無くなってしまった。
校内で神原を見ることも、声を聞くことも無い。
「……」
いや、『無くなってしまった』って何だよ!
なんか寂しいみたいじゃん!
俺はドMか!
……まぁでも、何かが心に引っ掛かってモヤモヤするのは認めよう。
だってあんなこと言われたら、誰だって気になる。
『目の前にいるのは七尾じゃねぇだろ馬鹿が』
神原はそう言った後、俺の頬を往復ビンタして走ってどこか行きやがった。
それっきり見てないという感じだ。
気になる。
神原が気になる。
俺はバンと机に手をついて立ち上がった。
「気になる!」
「気になるなぁ本条? お前この問題解いてみろ」
「あっ」
クラスの失笑が聞こえる。
事の重大さに気付き、ボッと顔を火照らせた。
俺は授業中に何てことを……こんなに頭のおかしい奴じゃなかったのに。
前の席の啓太も、クスクスと笑っていた。