□例えば君が…
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「おはよう。アルヴィス」


「……………」


俺はまだ夢を見ているのだろうか














「せっかく久しぶりに早起きしたから、散歩でもしようかと思ってね」

「わざわざ敵陣営にまでか?」


色々とまだ混乱しているが、とりあえず2人並んでさっきまで俺が寝ていたベッドに腰かけてみた。

…違うな。
気付いたら、ファントムが隣に座っていた。
多分、というか絶対、俺の頭はまだ眠っている。
もしくは、混乱しすぎて変な方向に頭が冷静になっているのか。
ただでさえ、朝は低血圧で大変なのに…予想外の事態で、余計に頭が回っていない気がする。

だって普通に考えて有り得ないだろう
敵の司令塔が堂々と敵陣の中にいるなんて
しかも俺の隣に座っているなんて

あぁ
それを言うなら、隣に座る事を許している俺も可笑しいという事になるのか?


「たまには、いつもと違うコースを歩きたくてね」

裏がありそうな読めない笑顔。

「……本当の目的は何だ?」

隣に座る事を黙認しておいて今更だが
彼の目的次第では、ARMが必要になるだろう…と、腰の辺りを手で探るが

「そうだね。散歩は言い訳で、本当は君に会いに来たって言ったら?」

「…何をバカな事を言って…」

「照れてる君も可愛いね」

「…っ誰が」

照れているんだ!

そう続けるつもりだったのに…こちらを見る彼が急に目元を緩め
今まで見た事のない、柔らかな表情を浮かべたりするから

驚愕か動揺か
はたまた、別の理由が原因なのか

耐え切れなくなった俺は思わず顔を背けた。
熱が溜る。
きっと今の俺は、顔だけではなく耳まで真っ赤に染まっているのだと思う。




いい加減に目を覚ませ俺




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