Drive−2
□BDショック!4thRomance 4
1ページ/10ページ
幾つものフラッシュがたかれる中、リカの声が会場に凛と響く。
「この度は、私の監督不行届きでこの様な事態を露呈してしまい、チームの関係者様、ファンの皆様、
並びにレース各方面の方々にも御心配ご迷惑をおかけした事、まずは深くお詫び申し上げます。
大変申し訳ありませんでした。」
すっくと立ち上がったリカは、美しい姿勢で深々と頭を下げた。
\この記事は事実なんですかー!/
そんなリカの頭が上がるより前に、容赦のない質問がアチコチから飛んで来た。
「まず申し上げたいのは、いずれもドライバーのプライバシーに関する事ですので、それに関して
お答えするのは、控えさせて頂きます。」
\このまま2人を使われるつもりですかー?/
『使う』の言葉に、思わず眉根を寄せたリカだったが射る様な冷たい瞳で、淡々と声を出す。
「確かに写真だけ見れば、なるほどイメージダウンにはなっていますが、ウチはタレントを抱えている訳ではなく
エンジン開発の一環としてのドライバーを採用してるに過ぎません。サーキット参戦も、全てはより良い
エンジンつくりの向上へ向け、データを採るだけのものです。ですから、現時点に於いて会社としては
イメージダウンしたという認識は、全くありません。」
\では、今後ドライバーを変更する事は考えられるのですか?それとも、このままですか?/
「プライベートに囚われ過ぎ、またはドライバーとしての資質の低下等でタイムが落ちる様であれば
契約期間内であったとしても、それは勿論、契約破棄します。この厳しいご時勢に、能力のない者
向上心のないものに注ぎ込む資金など、1文たりともありませんので。」
\では、あくまでも今回の件は会社として問題ないと?/
「私どもの企業計画に際しては、何も問題ありません。現にタイムの方も、昨日までの順調な数字を
出していますし、理想的なデータも手に入りつつあります。荻原と瀬名巳の名の下に、決して恥じる事ない様
1月開幕のサーキットでは、華々しい成績と共にデビューする事を、皆様にお約束致します。」
こうして火曜日の朝に起こったスクープは、
毅然としたリカの隙の無い対応に、意気込んで足元すくおうとしていたマスコミの面々は、手も足も出ないまま
無事に記者会見が閉幕したのだった。