Drive−2
□BDショック! 4thRomance 8
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「啓介!本番直前だというのにドコ行ってた?!探してたんだぞ!」
珍しく涼介が声を荒げながら、裏口ドアから戻った啓介を叱った。
「悪ィ、アニキ。ちょっとヤボ用。だけど、G・HEVENの狙いは俺だって分かったから。」
「何?」
言いながら通り過ぎた啓介から、ほんのりとジャドールの香りがするのに涼介は気付いた。
「ヤボ用ねぇ‥‥。」
「奴等‥多分俺を殺す気で追って来るぜ。ま、ヤラレる気はねぇーけどな。」
そう言って、何故か右手首付近についている歯型を見て微笑む啓介を見ながら涼介は、小さく呟く。
「フン‥今の啓介なら、俺でも勝てないかもな。」
服を整え、化粧室から出たところでリカは、山部とバッタリ出くわした。
「部長、三上がG・HEVENのメカニックやってます。」
「分かってる。厳しい走りになりそうね。」
「はい。ですが申し訳ありません、営業がトラブったみたいで、出来れば社の方に戻って頂けると‥――」
「分かった、戻ろう。」
即答で言いながら小走りで駆け出したリカの腕を、山部がムンズと捕まえた。
「な‥ッ?何?急いでるんでしょ?」
「‥急ぎますが、その前に『こういうモノ』は隠してもらわないと困りますッ!」
そう言い山部は、素早く内ポケットへ手を入れたかと思うと、リカの首筋にあったキスマークに
バンドエイドをペタリと貼り付けた。
「ぅ‥‥失礼しました。」(注訳:何でバンドエイドとか持ち歩いてンダヨ、コノヤロー)
「失礼されました!」(注訳:男のたしなみですッ!)
超特急で社に戻ったリカは、営業職員のやらかしたトラブルをテキパキと片付けてゆく。
携帯片手に、パソコン叩き、資料を見ながら、ファックスを送る横で部下にはゲキを飛ばしている。
「ったく、いつ見ても鮮やかな手腕なことで。23歳にして管理職が天職だなんて、末恐ろしい‥。」
そう独りごちった山部の携帯が鳴り出した。
「ハイ、山部‥ぁ?何だって?」
「部長ッ!」
丁度部下を叱り飛ばしていたリカを見た山部は、負けない鋭い声で上司を呼んだ。
「何?今、忙しいッ!」
「今、事故の連絡があって、高橋医院に運ばれたって‥!!」
山部の最後の言葉が終わる前に、リカの姿は消えており 今、まさに叱られていた社員は、呆気にとられ
口をポカンと開けたまま取り残されていた。
「‥‥で、波佐間が大怪我したそうですよ〜‥くっくっくっ。」