Drive−2

□BDショック!4thRomance 2
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念願のドライブスルーをして、食料は手にしたものの緊張したままのリカは、ソレに手付かずのままでいた。


啓介だ‥本物の啓介だ

体格が逞しくなっているし‥背も伸びたみたい

ほんの少し逢わなかっただけで 男の人って変わるんだ

何だかちょっと‥カッコ良くなってる‥‥?



「オィ、食えよ。またブッ倒れるぞ。」

「ぇ‥ぁ‥うん。」

いきなり飛んで来た声にドキッとしたリカは、ぎこちない動作で、もそもそとハンバーガーを頬張る。

繁華街を抜け、グングン登って行く峠道。窓を流れて行く夜景を見送りながら、リカは確信していた。



啓介は、間違いなく春名を走りこんでいる。

嬉しい時も、悲しい時も そして、辛く苦しい時も。

流れる様な美しいラインが、啓介の確かな成長を 私に教えてくれている。


ずっと窓に映る夜景を見ていると、FDが止まり 気付くと、ソコは誰もいない秋名湖だった。

啓介は1人、車から降りFDへ寄りかかると煙草に火を点けている。

リカもゆっくり降り立ち、湖を囲む鉄柵の方へ歩み寄ると、鉄柵を握り締め街灯に照らされる湖畔を見つめた。



「初めて2人で来たのも‥ココだったよな。」

不意に啓介の声がして、リカは背後から柔らかく抱き締められた。

「うん‥そうだね。」

涼介と終わり、1つの命を失い、奈落の底で独り泣いていた私に 手を差し伸べてくれた あの日。

「コレって夢じゃないよな、本当に‥今、俺の腕の中に居るのは、リカだよな…ッ!」

小さく叫ぶと同時に、リカを抱き締める啓介の腕に力が入る。

「夢‥かもしれないよ。何だか、頭がフワフワするし。」



「‥‥じゃ、身体で確かめてもいいか?」

「ヤだ。」

「キスしていいか?」

「ダメ。」

「ぁンだとぉー!何駄々こねてんだよ!」


啓介の腕をギュッと握り締めながら、リカの心が悲鳴を上げる。

――私ニハ婚約者ガ居テ結婚スルノヨ、リカ! と。



「‥っぱい‥イッパイイッパイなんだもん‥こうして啓介の腕の中に居れるだけで、もうイキっぱなしで‥
ヒザにも力入んなくて、ガクガクしてて‥コレ以上なんて、無理だよぅ。」


「俺なんか、毎日ずっと‥おかしくなりそーに、頭フッ飛んでんだ!」

そう言うと啓介は、リカをナビシートへ押し込み タイヤを軋ませて、ホテルリゾートへと向かった。



到着するや否や、啓介は有無を言わさず リカの手をグイグイ引っ張り、フロントへと向かう。

「ね‥ちょ‥啓介、ちょっと‥どういう‥――」

あまりの性急さに、足元をもつらせ引きずられる様に連れて行かれたリカは、訳が分らずフロント前に立つ。


「これはこれは、高橋様。お待ちしておりました。」

うやうやしくお辞儀をした支配人が、笑顔で2人を迎えた。

「おっちゃん!」

啓介が口を開くより早く、支配人がキーを差し出す。


「御予約通り、12階最上フロアーのロイヤルスイートルーム、ご準備させて頂いております。心ゆくまで
ごゆっくり御くつろぎ下さい。」

言いながら深々と頭を下げる支配人から、啓介がキーを受け取ると『オゥ。』とだけ残し。歩き出した。


「ぇ?!ちょ、支配人!ごゆっくりって‥ね、ちょっとぉ!」


バタバタするリカを啓介は、ヒョイと肩に担ぐと 問答無用とばかりにズンズン歩き、エレベーターへに。

2人を呑み込む様にドアが閉まると、微笑む支配人の目が、更に細くなった。



「あぁ‥思った通り、お似合いですねぇ。そろそろウエディングドレスでも デザインさせておきますか…。」



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