Drive−2
□BDショック!4thRomance 3
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「瑞穂‥。私は立場上‥さっき瑞穂が言った通り、『人妻予約済み』しかも、前金受け取り済みなのよ。
もう、どうこう言えないし‥引き返せないトコまで来てるの‥‥。」
そう言うとリカは、思い出した様に 先日痛い程に勇斗から握られた手首を見つめた。
どっちつかずの私の立場。
どこにもない私の居場所。
そんな不安定な私の気持ちを瑞穂は、敏感にキャッチしたのだろう。
そんなリカの姿に、渉は、彼女の肩をポンと叩いてから、何も言わずに去って行った。
考えない様にしていた処へ、1滴の雫が落ち その雫が、ジワジワと不安のシミとなって心の中
広がってゆく様な気がした。
啓介が追って来る様子もない。
言い訳する必要など 無いという事なんだろうか?
それとも‥言い訳できないのか。
みっともなくグラつきたくない だけど
どうしようもなく不安な時 私は どうすればいい?
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0時を回ったところで、直也が単身帰宅し 美苑が風邪をこじらせ、肺炎の一歩手前だった事と
2〜3日入院することになったと、知らせた。
「そうなんだ‥お姉さん、早く元気になるといいね。それじゃ私、帰るね。」
「今日は悪かったな。助かったよ。もう遅い、泊まっていけよ。」
「ううん‥家でしておきたい仕事あるから。」
「‥‥そっか。」
どことなく様子が変なリカを見送った直也は、彼女が残したタイヤの悲鳴と、寂しそうなスキール音に
小さく溜息の様な吐息をついた。
一方啓介は、春名のコースに車を停め 今日ファミレスで言われた恭子の台詞を反芻していた。
『今スキャンダルを起こして大変なのは、啓介さん自身は勿論のこと、チームもあるし、何より1番迷惑が
かかるのは、リカでしょ?スポンサーである荻原へ嫁ぐ身であり、企画した本人なんだから。
スキャンダルなんかで立場が悪くなれば、リカはどうなる事か。』
『じゃ、俺に リカには逢うなって言うのかよ?!』
『今の啓介さんが、リカに何をしてやれるの?諦めなさいよ。所詮、住む世界が違うんだし。その点、私なら
何も問題ないわよ。』
『下らない事、言ってんじゃねぇ!帰る!』