Drive−2
□BDショック!4thRomance 3
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勇斗から厳しい口調でピシャリと言われ、リカの心はギュッとなる。
―――もう 引き返せない処に来ている
そう、思い知らされた。
「ごめんなさい‥すみません‥でした。」
そうリカが言った時、勇斗の顔が近付いて来た。
意味も分らないままリカの上体は、テーブルに押し倒されたかと思うと、突然口づけが降ってきた。
勇斗のソレは、何も求めない ただのキスで、そう冷静に考えている自分に、これを断ってはいけないと
コチラもただ受けているだけの『2人のカタチ』を、リカは少しだけ寂しい――と、感じた。
ココが私の居場所となる。
リカの瞳から涙が溢れ零れたが、抵抗する訳でもなく時が過ぎるのをただジッと待っていた。
勇斗は、目の端で先程の人影が動くのを捕らえると リカとの口づけを貪る様に角度を変え、何度も口づける。
そして、その『人影』であった啓介は 逃げる様にエレベーターへ駆け込むと、15Fのボタンを押し
ズルズルと床へ座り込んだ。
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記者会見後のパーティー、啓介は浴びる様に酒をあおっていた。
自分自身に対する腹立たしさと、不安、焦り――
――そして、あの胸を掻き毟られる様な辛い光景を 酒で押し流す様に。
「啓介、飲み過ぎだぞ。もう止めろ。」
弟の様子を見かねた涼介が、声をかける。
「何言ってんだよ?全然ヨユー!足りねぇぐらいだっつの!」
既に足元が怪しい啓介は、変に座った目をして威勢の良い声で涼介の視線を逃げる様に、顔を背ける。
「啓介‥。リカは9月頃から、全国の色んな峠で走ってるらしいぞ。」
「なんらよ?ひょれ?」(訳:何だよ、それ?)
「たまたまネットサーフィンしてる時に見つけたサイトのブログに、ブラックパンサーはシングルで健在?
って日記があってな、ソレを読む限りではリカに間違いないとは思うが、一体何でそんな事してるのか。」
フゥと小さく溜息つきながら言う涼介とは逆に、新しいグラスを持った啓介が、乾いた笑い声をあげる。
「結婚前の、走り納めってヤツじゃねーの?」
そう自嘲気味な笑み浮かべる弟に涼介は、眉根をギュッと寄せ厳しい視線を向けた。
「啓介、お前もう止めろ。みっともないぞ!」
「あぁ、今の俺はサイコーにみっともないさ!ンな事、分ってらー!なぁ、兄貴、幾つ勝ったらリカを
取り戻せんだよ?本当は、そんな事‥ダメなんじゃねぇーか?もう手遅れなのに、俺や藤原を躍らせる為に
ンな事言ったんじゃねぇーのかよッ!」
瞬間、パァーンと高い音がしたかと思うと頬を押さえた啓介が、涼介と睨み合ってる姿があった。