Drive−2
□BDショック! 4thRomance 7
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「荻原の車作りのコンセプトは、誰にでも愛される様々なニーズに応えるファミリーカー、でしたよね?」
腰掛けるやいなや、リカは、少し身を乗り出す様にして口火を切った。
「あぁ。乗り心地・安全性・燃費・自然に優しい、の、4本柱のね。」
「――それをプレゼントします。」
間髪入れずリカは言うと、ニッコリ笑った。
「何だって?」
「私は近々荻原の人間になります。冴凪が去って荻原がダメになったなんて噂が立ったのでは、私だって
ムカっ腹立ちますから、瀬名巳とは違うところで、新しい荻原として『さすが老舗』と言わせてみせます。
で、冴凪に代わる人材が今日連れて来たこの‥三上剣、18歳、現役高校3年生です。」
「なっ‥高校3年?!」
勇斗が椅子からズリ落ちそうになりながらも、何とか動揺を押さえるように姿勢を正す。
「あのぉ‥初めまして。三上‥です。」
グイとリカに背中を押され三上は、ひっくり返った声で自己紹介した。
「コレは彼が描いた、環境に優しくコストも安く、でも決してバカにできないエンジン設計図です。荒削り
ではありますが、かなりイイ線いってると思います。今、ハイブリットカーは値段が高いのがネックですが
これが実現すれば‥――。三上は2ヵ月後ハイスクールを卒業します。その後を荻原で預かってみませんか?
No1の環境で育てたい人材なんですよ。既に荻原のスタッフ陣は三上を、全員一致で買ってくれてます!」
土下座する勢いで言ったリカは、自分が立ち上がっていた事に気付き慌てて座ると、三上の視線と共に
微笑んだ。
「‥ったく、貴女って人は‥。分かった。三上君、今後は学校が引けたらウチの開発部へ通いたまえ。
お宅には、ウチの者が伺って手続きをしよう。」
「ハイッ!ありがとうございます!頑張りますッ!」
剣もまた、土下座する勢いで頭を下げるのを見た勇斗は、やれやれとばかりに肩をすくめた。
「さて、リカさん。この後のスケジュールは?」
「三上を送ってから社に戻りますが、何か?」
「じゃ、三上君はウチの者に送らせて、瀬名巳には私の秘書から連絡を入れさせよう。少し付き合ってくれ。」
そう言うと勇斗は、リカの腕を取る。
「は‥あ‥?」