Drive−1

□BABY,D-ショック! 2
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「あれが…リカ? 」


涼介は目眩がする思いだった。いつも自分に従順で命じれば何でもしていたリカが、悪態をつきタンカを切り、
おまけに命知らずのドライビングテクニックを持っている。ブレーキなんて ほとんど使わず
見ている方が心臓止まりそうな程だった…。


ふいに無線が鳴る。

「おーい!メグ、レッカー1台と一応救急車ね。土下座、どぉしよっかー?」

「イイ加減にしてョ、車は どーしてくれんのよ!」

「いーじゃん、エゲツないFDごとき、早く帰ろう。そっち迎えに行くからさ。」

「OK」 


恵が携帯でレッカーと救急車を手配していると、ほどなくリカも戻って来て、スクリーンが引っ込んだのを合図に
ギャラリーもポツポツと帰り始めた。


「リカ姉、大丈夫?」

「拓海ぃ、またやちゃった‥。もう遅いから帰んな、パパには内緒にしててね。」

「わかった。今度、俺の友達とドライブする時、良かったら 一緒に来て欲しいんだ。」

「うん、いいよ。気をつけて帰ってね。」



拓海を見送ると、背後にクツ音が聞こえ リカは思わず両手を強く握り締めた。

「リカ、車に乗れ。」 

足音の主である涼介の声は、有無を言わせない響きがあった。

「あ‥でも…」 

リカはチラと恵を見る。

「早くしろ!!」 

涼介はイライラと怒鳴り、その様子を啓介が驚いた様に見つめている。


「リカ、私一人で大丈夫だから。後で電話くれたら必要な物、届けてやるよ。」

恵がフンと鼻を鳴らし、リカはガックリとうなだれる。

「ゴメン‥メグ。」


リカはトボトボと涼介のFCに近付くと、そのナビシートへと滑り込む‥と同時に、まるで怒りを叩きつける様に
タイヤを軋ませ、白いFCが発進した。


「一体、どういう事なんだ?兄貴は…?」

「負けた腹いせと、自分が知らないリカがあった事への怒りで、今夜はきっとリカをムチャクチャに抱くんだ。
あの男、毎度のことながらヘドが出るよ。」

恵が吐き捨てる様に言い放つ。


「それが唯一、高橋涼介が自分に戻る瞬間だよ。何ならレイクサイドホテル1810号室に行ったらいい。
いつもソコだから。優秀な人間演じるのも大変なんでしょうけど、いい加減リカを解放して欲しいわね!」


最期は怒鳴る様に言うと、恵はオシリのヘコんだFDに乗り込み去って行った。
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