Final-Drive

□BDショック! Final Romance 4
1ページ/10ページ





新体制初日という事か、リカの気迫に圧されたのか、5人のデザイン画は夕方の早い時間に出揃った。

デスクの前に5人が並ぶ中リカは、そのデザイン画をパラパラとめくる。


「‥‥で、5人とも、テーマは何なの?」


リカの問いに、5人の顔が戸惑いに陰る。

落ち着きを失くした視線は、せわしなくアチコチに飛び、組んだ指をしきりに動かしている。



「ふぅ〜ん‥。デザイナーともあろう御方が、テーマもなく季節設定もなく、ただ描いただけ‥と?」

チラと横目で見るリカの視線に、たちまち5人は気まずそうに俯いた。


「新しく来たボスは日本人だしィ〜、どぉ〜せセンスなんてナイだろぉしィ〜、デザインやファッションの事だって

分かんないに決まってるから、テキトーに描いときゃいい!とでも思いながら、手抜きして描きました

って、描いて来てんじゃん?この傾きかけたパリ支店に、わざわざ助っ人投入されたってのにさ、随分とバカにされたモノね。

分かったわ。ショーは取りやめにしましょう。こんなデザインに出せる資金は、ありません。いいわよ、ご苦労サン。

もう帰ってもらって結構よ。それと、明日から来なくて良いから。」



言いながらリカは、5人を追い出す様にドアを閉めた。



「何か‥ヤバイよ。」

5人はトボトボと歩きながら、ボソリと呟く。


「あのボス‥若いけど、かなりのキレ者じゃね?俺達‥見抜かれてるよ。」

「着てる物も、持ってる小物も‥ううん、全部のバランス見ても、ここパリで群を抜いてると思う。あれで素人なんて‥。」


「でも、クビって言われた。どうしたら‥。」

「ねぇ!何とか頑張って本気出して、認めてもらおうよ!!」



1人が叫んだ時『どうしたのかね?』という声が聞こえ、5人が一斉に振り返ると

支社長のロバートが、ニコニコしながら立っていた。




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ