Final-Drive
□BDショック! Final Romance 4
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新体制初日という事か、リカの気迫に圧されたのか、5人のデザイン画は夕方の早い時間に出揃った。
デスクの前に5人が並ぶ中リカは、そのデザイン画をパラパラとめくる。
「‥‥で、5人とも、テーマは何なの?」
リカの問いに、5人の顔が戸惑いに陰る。
落ち着きを失くした視線は、せわしなくアチコチに飛び、組んだ指をしきりに動かしている。
「ふぅ〜ん‥。デザイナーともあろう御方が、テーマもなく季節設定もなく、ただ描いただけ‥と?」
チラと横目で見るリカの視線に、たちまち5人は気まずそうに俯いた。
「新しく来たボスは日本人だしィ〜、どぉ〜せセンスなんてナイだろぉしィ〜、デザインやファッションの事だって
分かんないに決まってるから、テキトーに描いときゃいい!とでも思いながら、手抜きして描きました
って、描いて来てんじゃん?この傾きかけたパリ支店に、わざわざ助っ人投入されたってのにさ、随分とバカにされたモノね。
分かったわ。ショーは取りやめにしましょう。こんなデザインに出せる資金は、ありません。いいわよ、ご苦労サン。
もう帰ってもらって結構よ。それと、明日から来なくて良いから。」
言いながらリカは、5人を追い出す様にドアを閉めた。
「何か‥ヤバイよ。」
5人はトボトボと歩きながら、ボソリと呟く。
「あのボス‥若いけど、かなりのキレ者じゃね?俺達‥見抜かれてるよ。」
「着てる物も、持ってる小物も‥ううん、全部のバランス見ても、ここパリで群を抜いてると思う。あれで素人なんて‥。」
「でも、クビって言われた。どうしたら‥。」
「ねぇ!何とか頑張って本気出して、認めてもらおうよ!!」
1人が叫んだ時『どうしたのかね?』という声が聞こえ、5人が一斉に振り返ると
支社長のロバートが、ニコニコしながら立っていた。