Final-Drive
□BDショック! Final Romance 10
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26日木曜日の夜に帰って来たリカちゃんは、例の如く毎日会社に泊まり込み&土日返上で仕事をこなす。
月が変わった今日、10月1日昼に不在にしていた2週間分の仕事全てを仕上げちゃったんだ。
だけど5日には、チームDRがモナコ入り、またリカちゃんも再度パリ支店に、最後の顔出しに行く事もあって
リカちゃんのお仕事は、やってもやってもキリがないってのが、本当のところなんだけどね。
ただ不思議な事にこの5日間、啓介クンは1度もリカちゃんに逢っていないどころか、電話もメールもしてないんだ。
何やってんだろ‥‥?
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「部長、パーティーの招待状が届いてますが。」
山部が1通の封筒と大きな箱を持って、リカのオフィスへと入って来た。
「パーティー?いつ?何の?」
そう言いながら封を開けたリカは、え?と目を大きくした。
そこには『高橋啓介、凱旋帰国パーティー及び、チームDR壮行会』とあり、今日の日付になっていた。
「今日じゃん?!」
リカが素っ頓狂な声を出し山部を見ると、彼もまた見ている。
「私も専務も呼ばれてます。本日18時から、ウチのハイレベルホテルが会場ですよ。」
「ですよ、って言われても‥。私、このスーツで良いかな?帰る時間もないし?まぁ顔出せば良いんだよね。じゃあ、良いか。」
1人納得し仕事に戻ろうとしたリカを、山部の声が遮った。
「いぇいぇ、パーティーですから、そんなんじゃダメでしょう。でも、部長には‥プリンスから贈り物が届いてますよ。」
山部が机上に乗せた大きな箱を指差し、ニッコリと笑っている。
「プリンス?誰?ソレ?本当に私に届いてるの?差出人は‥――」
言いながらリカが差出人を見ると、高橋啓介の文字があり、受取人には確かにリカの名前が記してあった。
しかも、御丁寧に、本日昼の時間指定にもなっている。
リカが眉をひそめながら包装紙を開くと、大きなリボンがかかった、高級そうな箱が出てきた。
「‥な、何だろうね‥‥?」
「もー!部長!じれったいですねぇ!!」
山部がイライラした様にリボンをほどき、蓋を後ろに投げやる。
中のパラフィン紙をそっとめくると、まず最初に紫のベルベット地が顔を出し、山部はソレを取り出した。