Drive−2

□BDショック! 3rd-R 2
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「アレでも、100%じゃないですからねぇ。」

こちらも到着していた直也が、困った様に微笑みながら応える。

「何だってぇ?!そんじゃ‥ダウンヒルは、死も覚悟だな‥‥。」



人の声にようやく気付いたリカが、慌てて駆け寄ってきた。


「スミマセン!皆様がご到着してあるの、気付かなくて。最初に『チームD』のタイムを計りたいんですが
いいですか?冴凪さん?」


「あぁ、構わねぇーよ。連中の腕も、知っておきたいしな。」

その時、1台のバンが リカ達の方へやって来た。



バンには『ホテルリゾート』のロゴが付いており、止まったバンからは 料理人姿の男が降りてくる。
逆三角形の 鍛え抜かれてるであろうその身体に、料理人の白い服は、少し不似合いにも見える。


「リカーッ!」


その料理人男は、低いバリトンの声を発しながら駆け寄ると、満面の笑顔でリカを軽々と抱き上げた。


「レン?!帰ってたんだ?!半年ぶり?」



「誰なんだよ!アイツ?!」

途端に黙っていた啓介が、堪らず小さく叫んだが その横で涼介がアッと声を上げた。

「あの男‥川崎‥川崎 廉じゃないのか?!」

「川崎‥廉?どっかで聞いた名前だなぁ〜?」



首を傾げる啓介とは逆に、涼介の表情が引き締まった。


「ぁ!もしかして、13年前、レース界をアッと言わせる様に引退した、あの川崎?!」

思い出した様に叫ぶ啓介に、涼介は黙って頷く。



「そう‥あの2輪の『KAWASAKI』の血統を引きながら、4輪に魅せられ その天才的な才能で、地元

九州の峠では、川崎を知らない人間は居ないとまで言わしめ、関西方面まで攻め込んでいた男だ。

22歳でプロ入りし、参戦したレース全てが 必ず3位までの入賞果たす。だが、25歳の時『ヤル事は

全てやった』の一言を残して、アッサリ引退。その後は、1度食べてソノ味に惚れ込んでしまった

ホテルリゾートの厨房に弟子入り。当時10歳のリカとは、同期入社‥‥。」



「そして、現在ウチのホテルの料理長の川崎だ。」

涼介の言葉を継いで、直也が加えた。



「ホラ、土産だ。フランスに行ってたんだ。帰って来たら、知らねぇーガキが2人 裏を走ってたから
ビックリしたぜ。まだまだってトコだが、まぁ‥イイセンは、行きそうだな。」


「そう思う?って、ぅわ!シャネルとか、私みたいな子供には、似合わないのに‥高かったでしょ?
しかも、こんなたくさん‥‥。」


仲睦まじく話す2人の処へ、ゾロゾロと皆が集まってきた。

「リカ姉、紹介してよ?」

拓海が、全員の代表でリカへ尋ねた。


「ぁ、ごめんなさい。」


我に返ったリカは、廉の腕からストンと降りると 皆の方へと向き直った。



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