Drive−2

□BDショック!4thRomance 1
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――別離・SEPTEMBER


9月に入ると、瀬名巳COと荻原の提携プロジェクトが本格的に動き出し、慌ただしくなってきた。

また、サーキット界では、突然ゲリラ参戦してきた謎の『チームD』の話題が持ち上がり、その実力を
高く評価していた。



「え?もう1回言って?涼介?!」

リカが携帯の受話器を反対の耳に持ち替えながら、声の主へ問い返す。


「神牟田岬でバトルした『恭子』って女と、その仲間の延彦って奴をチームのピットメンバーとして

入ってもらう事にした。理由は、延彦って奴のメカに対する頭が欲しいからだ。それを申し入れたら

恭子って女同伴での参加希望って言うんで、まぁ、仕方ないんで、彼女は雑用かな。」



「雑用かな‥って‥‥。」


リカは、窓の外に広がる景色を見ながら 努めて事務的な声を作る。


「そう。別に、そういう事は報告してもらわなくても、チームの件は私の手を離れた事だから。」


「‥‥それもそうだな。話は変わるが、今夜うちの母の快気祝いで食事会するんだ。それにリカも来て欲しい。
時間は、19時からなんだが?」


「え?そんな‥他人が行くべき場じゃないんじゃ?」

「それが当の母親が、希望してるんだ。香坂医師も来る事になってるぞ。」

「綾子先生が?分りました。伺わせて頂きます。」



携帯を切った後、自然と溜め息がこぼれる。

もう9月も下旬。あの8月の花火の日以来、啓介とは逢っていないし、声も聞いてない。

気が緩むとすぐ『そんな風』に考えてしまうのが嫌で、無理の上に無理を重ねた忙殺スケジュールこなし

仕事に没頭する日々をこなしているのに‥‥

それなのに…ッ!――



家に来い?

恭子をメンバーに?



「もーイヤだッ!!」



リカは、その美しい景色を見せてるガラス窓を 両の拳でバン!と叩く。

たった3週間で不安になる。

醜い嫉妬心が芽生える。

そんな自分が嫌だ。



「部長、どうかなさいました?」

いつの間に来ていたのか、山部が背後に立っており驚いた顔でリカを見ていた。


「ちょ‥驚かさないでよ。別に、どうもしないわよ。」


窓際に座っていたリカが、机に向かおうと降り立ち歩き出す腕を、山部がやんわりと掴んだ。



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