歌のプリンス
□ガマンできない
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「レンー!!」
翔が慌ててこっちに向かって来る。
「おチビちゃん、どうしたんだい?そんなに慌てて」
「大変だ。マサトが大変なんだ。」
「え?」
昨日の夜まではいつも通りだったと思うが、一体どうしたのだろうか。
急いで翔の後を追った。
向かった場所は第一音楽室。
「マサト?」
レンはそっと近づいた。ピアノの下で服のような物をぎゅっと抱き締めながらマサトが丸まっていた。
レンの声に反応して恐る恐る顔を上げるマサト。
「……レン……?」
今にも泣きそうだ。
「どうしたんだい?」
レンはそっとマサトの頭を撫でる。
「う……すまない。その、本当にすまない。」
「……」
マサトはどうして自分に謝ってくるのか、全くと言っていいほど見当がつかない。