歌のプリンス

□何度でも
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「お兄ちゃん〜!」


藍色の髪を左右に揺らしながらこちらの方へかけてくる10才にも満たない男の子。



「マサト」

優しさが滲み溢れる笑顔でそれを受け止める少し年上の男の子。



ここはとある財閥達のパーティー会場。ほぼ毎月何処かで行われる。その度に見る豪華な景色に見飽きた二人はパーティーの度に抜け出しては遊んでいた。



二人はいつも星空の下で待ち合わせをしていた。



「マサト、よく抜け出したね」


「うん!お兄ちゃんに会いたかったから!」


無垢な笑顔、端から見ても分かる程、マサトと呼ばれた男の子はお兄ちゃんが大好きなのだろう。


「今日は何して遊ぼうか?」

「ん〜とね!かくれんぼしよ!レンお兄ちゃん!」


キラキラと輝く瞳。


レンはクスッと小さく笑いそうだねとマサトの頭を撫でた。



「じゃあ、オレが鬼の役やるよ、マサトは隠れて」


レンはポンとマサトの背中を押す。



「うん!10だよ!お兄ちゃん、ちゃんと数えてから探してね」


「はい、はい」


苦笑をしつつも返事をし、かけていくマサトを見る。


姿が見えなくなった所から数を数え始めた。


わざとゆっくりと数えマサトの隠れる時間を稼ぐ。



「10〜、もういいーかーい」


レンは大きな声で聞く。


少し離れた所からもういーよと声が聞こえる。



そんな大きな声だとすぐ場所がバレてしまうだろうに。



レンは声のする方へゆっくりと近づく。





そこはバラの庭園で真ん中に休憩するベンチが一つ置かれていた。



(どこかな〜)



あたりを見回すとベンチの方から地面を踏みしめる音が微かに聞こえる。



(あ、いた)


ベンチ下に見える足。

(丸見えだよ、バカ)



「ん〜、どこかな〜見つからないな」


レンはベンチに近づきながら言う。


「あ!みーつけた〜」



パッとベンチの裏を見るとマサトがしゃがみこんでいた。



その顔はプクーと頬を膨らませている。


本当に悔しそうだ。


「お兄ちゃんのばかー」


バシバシと叩かれるレン」


「あてっ、ちょっ、マサト」


片手で塞ぐもののマサトからの攻撃はかなりのものだった。


「ごめんって、今度はオレが隠れるから、な?」


宥める様に声を掛けるとマサトの膨れっ面はシュプーと萎んだ。




ゴーン、ゴーン、ゴーン



大きな鐘の音が屋敷内に響く。



パティーもお開きの時間だ。




「あー、もう時間だね、戻らないと怒られちゃうよ」


レンは優しくマサトの手を握ると笑顔を向ける。



「次のパティーにまた会おう、マサト」


「約束だよ!お兄ちゃん!」


その手を両手で握り返すマサト。


「うん、約束だ」


「あ!そうだ、お兄ちゃんオレ、お兄ちゃんに言いたい事があるの」


ふふふと嬉しそうに笑うマサト。


「ん〜?」


マサトの方に顔を傾けるとマサトが背伸びをしレンの耳元に口を寄せる。


「オレ、大きくなったら、レンお兄ちゃんをお嫁さんにするの」


突然の事で、反応に遅れるものの、レンはマサトの手を強く握り返した。


「そっか、それは楽しみだなぁ」



チュッとマサトのほっぺにキスを落とす。



ふわっと顔を赤くするマサト。



しかし、はにかんだ笑顔をレンに向ける。


「オレ、レンお兄ちゃんが大好きなんだ!!」



「オレもだよ、マサト」







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子供の頃の二人ってこんな感じだと思います!!!!!
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