氷帝学園R組!

□act.??
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向日side








飛ぶ。跳ねる。

それが俺のモットー。元々そうやって宙に浮いたりするのが大好きで、俺は良く飛んだり跳ねたりする。
テニスの試合のときも、ソレが癖で飛んでしまうときがある。便利な時は便利だが、体力は速く減るわ怪我はしやすいわで役に立つことはない。そのせいか、皆から俺の飛びを認めてくれない。
だけど俺は飛ぶのが好きだ。飛んだり跳ねたりするのが余計ならば俺は、皆が認めてくれるぐらいの飛びを使って、テニスで活躍してやる!




「……ここで、合ってんのか?」


先程とは違い、千葉県。
俺が悩んでいることを察した跡部は、俺に何か悩みでもあるのか? と言われ、先程の事を跡部に言ったら、跡部が色々な練習所を教えてもらった。
――と言っても、高級なところが多くて、ほとんどがボツだったのだが。

そこで、跡部の提案した場所で目に入ったのは、六角中と言うテニスで有名な中学校の近くにある公園だった。
写真を見る限り、かなり飛ぶことができるものが多く、公園なので、無料ときた。
千葉、と言うのは少し遠いが、六角中がどんなテニスをしているのかも気になったので、そこへ訪れることにしたのである。

公園を見渡す限り、想像以上の代物だったので、ここへ来たのは正解だと思う。
あとは自分の体に合っているか、それを試すために、さっそく遊具に手をつけようとした瞬間だった。


「あんたどいてえええええええええ!!」
「……は?」


上から少女が降ってきた。
そして俺の体に当たる――ことはなく、うまくそれをかわすと、少女を地面に手を付き、逆立ちの状態になり、そして着地した。


「あっぶねーなオカッパ! 美鈴の練習に邪魔すんな!」
「お前がいきなり空から降ってきたんだろ!」
「ふん! 美鈴悪くないもん! バーカバーカ!」


ベロベロベー、となんとも幼稚らしく舌をだして、遊具に手をつきその場から去っていく。
俺より身長の低く、日本人離れした顔で、緑色の髪と目は、本当に人間なのかと疑いたくなる。
だが、ピアスやネックレスをつけているのは、女の子らしさが増している。大人っぽさより幼稚っほさの方が増しているが。
変わった奴だな、と再び遊具に手をつけると、そこには切れたプロミスリングがあった。
もしかして、さっきの奴か? と思って、追いかけることにした。
――が。


「こっこまでおいでー!」
「クソクソ! うっせーぞ!」
「やーい体力無し男ー! この公園の天下の美鈴様に勝てると思ってんじゃねー!」
「黙れ! このっ、待てっ!!」


恐ろしいほどすばしっこい。
俺よりも高く飛びやがるし、持久力もあるし、ウザい。
そして――。


「っ! つっかまえた!!」


追われて追いかけてを繰り返し、約三時間。やっと捕まえることができた。
腕を掴み、強引に引っ張る。ぐへっ、とこけていたが気にしない。
俺の体は一瞬で汗まみれになり、今は、新鮮な空気を吸うことが先だった。
苛立たしい事に、彼女は俺なんかより息切れしていない。


「これ」
「え、あーーー!」


願いの! と可笑しな名前を繰り出したことにはスルーしておく。
切れたプロミスリングを祈るようにして拝める姿に、思わず笑いそうになる。


「何か願いとか叶えるのか?」
「うん! ライバルを倒すの!」


ライバル? と問いかけると、彼女は笑いながらそのライバルの事について語り始めた。


「美鈴は前ね、フランスに住んでたんだけどね、その時に会ったんだけど、めっちゃ目つき悪くてメッシュつけてたからライバルにしてやったの!」
「なんだその理由」
「でもそいつ日本に行ったから、私追いかけてきたんだけど、どこにいるのか分かんないから、とりあえずここで強くなろうと思って練習してたんだ!」


ライバルを倒すために日本まで来たのは驚いた。どれほど執着心があるのだろうか。
けど、その内容は、どこか今の自分に似ていて、笑いたくなった。


「なーなー、オカッパ」
「オカッパじゃねぇ、なんだ」
「お前は何でこんなじーちゃんの作った公園きてんだ?」


じーちゃんって誰だ? 親戚か? と思ったが、多分この公園の管理人なんだろう、と適当に自己解釈しておく。
本当は知らない奴――しかもかなり性格の悪い――に言いたくはなかったが、彼女はここで練習している理由を教えてもらったので、しぶしぶ教える。


「まー、あれ、簡単に言うと、先輩達を見返すためだ!」
「へー、ならさ、美鈴のライバルになってよ! 美鈴ジャンプ得意だよ! オカッパより」
「だーかーらー、誰がオカッパだ!」
「よーし、じゃあ先にあの遊具に着いたほうがジュースおごれ! よーいどん!」
「え、ちょ、おまっ」


自分の意見などまったく無視してそのまま指定された遊具へ突き進んでいく。
それを見て、仕方ないと溜息を吐いて、俺もそこへ全力で向かっていった。





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