□マント
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真冬の夜中、帰る当てもなく私は地べたに腰を降ろし身体を縮ませた


「あー!寒い!糞!」



春雨との戦いは見事に負け
帰る船までもがバラバラだった

仲間はきっと私以外全滅だろう


仲間が死んだ悲しさはない

だけど帰る船がバラバラなことの方が腹立つ



空腹だし凍えるし

私その内死ぬんじゃね?



周りを見渡すと近くに何枚もまとめてある
紙があったのでそれと瓦礫で焚き火をする事にした





帰る手段を考えていると


近くから船が着陸する音が聞こえた





急いで火を消し音のする方を確認すると


あれは春雨の船



さすがに私だけじゃ不利なので
必死に息をのみ気配をけした






「ったくこの団長は‥」


「あはは無駄口叩かないでちゃんと探してくれるかい?」



近づく足音




「さすがに極秘内容の資料を落とすなんざ上に知られたらえらい事になるぜ」


え?資料?


「その時は俺が全員殺すヨ」

資料ってまさか‥


「ったくこんなんだから」


あの紙!?



「なんだい?」



「なぁ団長なんか焦げ臭くないか?」


「船でも焼けてたんじゃない?」


「いや‥ん?」



あきらかに目が合った。

一応死んだフリをしていたんだが
目を開けていたのが汚点だった



「団長‥あれ」


最悪だ。私は次こそ死ぬ


「あんたココで死んだふりして何してるんだい?」


「‥いや‥別に」


「へぇさっきの部隊全滅してなかったのか〜」


「そうみたい」


「あんた資料しんない?」


「‥‥‥‥嫌別に。」


「あきらかに怪しいだろスットコドッコイ」



「いやいやいや‥そんなこと‥」



「これ君がやったのかい?」


焚き火の事にふれられてしまった


「さささ‥さぁ」



「コレなんだい?」


半分だけ燃えた紙を持ち上げ
私をかなり見ている春雨の団長


「内容は読んでないけど寒くて焚き火に使いました。ごめんなさい」


見つかったいじょう殺されるんだし正直言おう


「やっちまったな団長」


「あのさあんた‥「はっくしゅん」


ばさっ



春雨の団長のマントが私の身体を包んだ



ふわっと香る匂いがとても良くて‥


「阿伏兎ーこいつ連れて帰ろうよ」

「んあ!?何だと?」

「責任もあるしこいつもコキ使いたいしネ」


「‥‥よし」



「え?状況が良く掴めないんですが」


「あんたとりあえずついて着て。それ貸してあげるからさ」



月明かりで照らされた顔は


とても綺麗で敵ながらもときめいてしまった




船に乗り私はマントの暖かさと匂い包まれながら眠りについた





マント続く
 

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