悪ノ王子〜哀しく輝く青ノ薔薇〜
□〜第五章〜
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〜潤SIDE〜
村1「翔王子だと?」
村2「あの、魔導が得意で有名な……」
村3「どうしてこんな古くさい村に?」
村人たちが口々に慌てる中、俺は思わず翔を問いただした。
潤「翔!!おい、どういうことだよこれ!!」
村1「ん?なんだ、潤。お前、翔王子と知り合いなのか?」
潤「あっ……」
しまった−
翔と兄弟だってこと、秘密にしてたんだ……
けれど、翔はそれに動じずにふっと笑い、堂々とその事実を公表した。
翔「ええ。知り合いもなにも、潤は私の……俺の、実の兄弟です!」
村1「なんだって!?潤、それは本当か?」
俺は、黙って素直にうなづいた。
翔「元々滅ぼされた森ノ国王子、雅紀も俺と潤の実の兄弟でした。しかし……ご存知のとおり、森ノ国はこの国の王子の醜き野望により……あっという間に滅ぼされてしまいました。だからこそ、王子のしたことは許せない……だから、貴方がたを手助けしましょう!」
途端に、村人たちは歓声をあげた。
翔は、台にあがると杖を掲げ、高らかに叫んだ。
翔「民衆よ!武器をとれ!魔導を解放するのだ!憎き悪に復讐をするのだ!さあ、悪には悪を!悪には報いを!悪には永遠たる眠りを!そして我ら、善には栄光の勝利と新たなる導きを!」
村1「翔様!」
村2「我らの救世主様!」
俺は、あまりの出来事に驚愕し翔を部屋の隅に連れだし、再び問いただした。
潤「翔、どういうことなんだよ。智を倒すなんて、正気か?」
すると、翔は冷たい表情で俺に答えを返した。
翔「お前こそ。悪ノ王子を庇うなんて、正気かよ?」