悪ノ王子〜哀しく輝く青ノ薔薇〜
□〜第一章〜
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〜智SIDE〜
いつからこうなってしまったのか。
いつから俺は悪ノ王子になってしまったのか。
智「……」
いくら考えてもわからない答え。
それでもわかることは、俺は孤独だっていうこと。
10歳の時に両親が死に、11歳で政務を任され、王子という身分に縛られ続けてきた。
ひとりは、嫌だ。
ひとりは、寂しい。
智「……はあ。」
召使はたくさんいる。兵隊だって自由に動かせる。
それでも……近くに親しい人は、ひとりもいない。
こういうときに、五人の頃を思い出す。
父ちゃんがいて、母ちゃんがいて、兄弟がいて……
いつもいつも生真面目な翔。うるさいくらいだったけどおもしろい雅紀。いつも冷静だった潤。いつだってそばにいてくれた和。そして……俺。
もう嫌だ。こんな生活。
俺は……兄弟に、会いたい。
大「智様。」
そんな呼ばれかた、もう飽き飽きだ。
智「……」
大「どうかされましたか?」
智「……下がれ、大臣。しばらくひとりにしてほしい。」
大「御意。」
王子と呼ばれるのはもう嫌だ。ひとり政務
を任されるのも嫌だ。
……会いたい。兄弟に会いたい。
誰でもいい、そばにいてほしい。
だから−
智「お願い……俺をひとりぼっちにしないでください……」