悪ノ王子〜哀しく輝く青ノ薔薇〜
□〜第四章〜
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〜潤SIDE〜
父「明日、宮廷に呼ばれた。」
その親父の言葉に、俺はつい持っていたパンを落としそうになってしまった。
潤「え……」
父「つい先程、呼び出し状が届いてな。明日、ちょっくら行ってくるよ。」
潤「でも、どうしていきなり……」
あの智が人を呼び出すなんて、よっぽどのことがない限りありえない。大方は処刑の宣告……
潤「まさか親父……あのことがばれたんじゃ……」
父「まさか。そんなわけないだろ。第一お前は智王子の兄弟だ。王子はそんな、兄弟の親族を殺すような残酷な方ではないぞ。考えすぎだ。潤。」
親父は、豪快に笑いながらそう答えた。
でも……もしも、だ。
もしも、智が本当に怒っていたら……
裏切られたんだ。怒って当然だ。
潤「親父……やっぱり、やめたら?宮廷に出向くの……」
父「平気だ、平気だ。まったく、潤は心配性だな。安心しろ。処刑はない!」
そう言う親父の笑顔は、どこかひきつっているように見えた。
……怖いのか?親父自身も……
強がってそう言っているけど、本当は呼び出しの意味をわかっている気がする。
だから、こんなに無理して笑っているのか……?
俺は、席を立つと古いベッドに寝転んだ。
……親父が殺されれば、きっと反感も多くなるはずだ。
そうすれば、俺は大切な兄弟と親父を一度に失ってしまうかもしれない。
じゃあ、俺はどうすれば……
そんなことを考えているうちに、いつのまにか俺は眠りに落ちていた……