月夜のwizard vampire
□3.許婚
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智「ん……」
ぼんやりとする頭をたたき起こし、俺はゆっくりと体を上げた。
イマイチ今の状況がわからない……あのあと俺、どうなったんだ?
?「お、目が覚めたか。」
智「っ!?」
慌ててベッドの脇を見ると、そこにはジュンさんが椅子に座っていた。
ジュン「悪かったな。あいつ、時々無茶ぶりするからさ。でも、悪いやつってことはないぜ?」
智「は、はあ……」
ジュンさんは、にこにこと笑いながらそう言った。
智「……ねえ、ジュンさん。」
ジュン「ジュンでいいよ。いつでも人間ってのはいやに堅苦しいんだな。で、なんだ?」
智「俺……もう人間界には帰れないの?ここであの王子様とずっと一緒に暮らすはめになって……」
ジュン「……」
智「……こんなんならずっと絶望に浸ったまま向こうの世界で暮らしてればよかった。どっちにしても絶望しかないなら、あのまま……」
すると、いままで黙っていたジュンがゆっくりと口を開いた。
ジュン「智、お前は……幸せがほしいのか?」
俺は、小さくうなづいた。
ジュン「なら、ショウを信じな。智から見れば、あいつは得体の知れない怪物かもしんねーけどさ……ショウは、絶対お前を幸せにする。……親友の俺が言ってんだから、間違いはないぜ?」
智「……」
ジュン「……とりあえず、ショウのとこにいくか。」
智「……うん。」