月夜のwizard vampire
□7.救出
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ここに閉じ込められて、もう何日経っただろう。
時間のわからないこの場所でただ耳の頼りになるのは、城下街の民衆の声とさえずる黒い小鳥の声だけ。
毎日ぼんやりと格子の外を見て思うのは……ショウのこと、ただそれだけ。
ショウはどうしているのかな。泣いてるのかな。もしかしたら、他のだれかと……
あの言葉に虚偽などなかったはずなのに、涙が流れてくる。
ショウ……会いたい。会いたいよ……
あの声で俺の名を呼んで。もう一度俺を抱きしめて。お願いだよ、ショウ……
もう何回"死にたい"と思っただろう。ショウに会えないならば、"死にたい"と。
でも、それでも生きてこれたのって……多分、カズのおかげだよね。
マサキはあんな態度とったのに、カズだけは俺に優しくしてくれた。毎日ここに来て、しばらく一緒にいてくれる。
それがなんだかショウみたいで、だから生きれたんだよね。
……ねえ、ショウは王子様なんでしょ?
だったら俺を助けにきてよ。
童話とか作り話とかみたいに、かっこよく敵を倒して俺を助けてよ。
スッゴく女々しいけど……それでもいい。ショウが助けてくれるなら。
智「っ……」
涙が止まらない。こんなとき、ショウがそばにいてくれたら……
……涙を止める方法、忘れちゃった。そう言ったらまた、教えてくれるかな……
その時だった。
−ガチャ−
カズナリ「智……食事……」
智「っ!」
カズが、入ってきた……