月夜のwizard vampire

□8.真相
1ページ/10ページ

〜ショウSIDE〜

ついに、この日が来てしまった。

俺は自室でひとり、黒いタキシードに身を包みながら頭を抱え込んだ。

きっと、マサキはこの式が終わってから智を解放するのだろう。

……いや、マサキのことだ。行き場を失った智を、奴隷や使用人と一緒のように働かせるかもしれない。

智が掴むはずの幸せを横取りしているマサキ。

隣で笑うのは、智のあのふにゃりとした笑みではなくマサキの明るい笑み。

……なぜだ?

なぜ、俺はこんなに苦しまなくてはいけない?

なぜ俺だけが、幸せを手にすることができない?

なぜ自分が愛する人と結ばれてはいけない?

……なぜ、なんだ……

すると、扉が軽く鳴った。俺は力無く立ち上がり、扉を開けた。

マサキ「ショウちゃんっ。」

ショウ「マサキ……」

マサキは、フリルの入った可愛らしいパートナー服を着ていた。

マサキ「わ、ショウちゃんかっこいー!俺、また好きになっちゃいそうだよー!」

ショウ「……あ、りがと……」

マサキ「ねえねえ、もう行こうよ!そろそろ時間だよ?」

ショウ「……」

俺は、マサキに手をひかれて半ば強引に祭壇へと向かった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ