月夜のwizard vampire
□8.真相
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〜ショウSIDE〜
ついに、この日が来てしまった。
俺は自室でひとり、黒いタキシードに身を包みながら頭を抱え込んだ。
きっと、マサキはこの式が終わってから智を解放するのだろう。
……いや、マサキのことだ。行き場を失った智を、奴隷や使用人と一緒のように働かせるかもしれない。
智が掴むはずの幸せを横取りしているマサキ。
隣で笑うのは、智のあのふにゃりとした笑みではなくマサキの明るい笑み。
……なぜだ?
なぜ、俺はこんなに苦しまなくてはいけない?
なぜ俺だけが、幸せを手にすることができない?
なぜ自分が愛する人と結ばれてはいけない?
……なぜ、なんだ……
すると、扉が軽く鳴った。俺は力無く立ち上がり、扉を開けた。
マサキ「ショウちゃんっ。」
ショウ「マサキ……」
マサキは、フリルの入った可愛らしいパートナー服を着ていた。
マサキ「わ、ショウちゃんかっこいー!俺、また好きになっちゃいそうだよー!」
ショウ「……あ、りがと……」
マサキ「ねえねえ、もう行こうよ!そろそろ時間だよ?」
ショウ「……」
俺は、マサキに手をひかれて半ば強引に祭壇へと向かった。