星空の下で
□1st star
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星に願いをかけたら、叶うってほんとかな?
そんな俺の言葉がきっかけだった。多分。
彼は悪戯な笑みを見せて、こう言った。
じゃあ、試しに願がけでもしてみます?
四月の終わり、その言葉はどこかいきいきとしていた。
そうして俺は今、この丘に立っている。
智「……」
和「大野さん。開いてますよ。口。」
ニノの手が俺の唇に触れる。そんな仕種にさえ、俺は思わずどきりとした。
和「綺麗でしょ?」
智「……うん。」
紺の空に埋め尽くされた、満天の星。これで口が開かないほうがおかしいと思う。
ふふ、とニノが笑う。俺はようやく星空から視線を外した。
智「ニノ?」
ふとニノを見ると、ニノは丘の上にごろりと寝転んでいた。
和「大野さんもやれば?気持ちいいよー。」
俺はそう言われるがままにニノの隣に寝転んだ。
ひやりとした芝生の感触が伝わってくる。……気持ちいい。
和「たまにはいいでしょ、こういうのも。」
智「そうだね……」
俺は星を見上げながらそう言った。
和「じゃあ、そろそろ本題に行きますか。」
智「えっ!?あれ、マジだったの!?」
和「当たり前でしょ。何のために俺のお気に入りの場所、紹介したと思ってんの。」
智「うぅ……」
あれ、冗談だったのになあ……
そう思いつつも、俺はむくりと起き上がってそっと目を閉じた。