悪ノ王子〜哀しく輝く青ノ薔薇〜
□〜第二章〜
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〜和SIDE〜
驚いた。まさか翔が王子になっているなんて。
智も相当の驚きようだった。
智「び、びっくりしたよ!翔、どうして王子に?」
翔「ほんとの父上からの遺言なんだとさ。にしても智、変わったなー。和も……」
智「そりゃあそうだよ。王子もとい国王なんだから。」
そう言うと、智はふにゃりと笑った。
和「でも、すごいよな。こんなに一気に揃うもんなんだな。」
翔「だよな。確か潤って、こっちで王室側近の騎士なんだろ?」
智「そそ♪たまに会いにきてくれるんだ♪」
智は、嬉しそうな顔でそう言った。その笑顔は、10年前とちっとも変わっていなかった。
翔「あとは、雅紀だけ?」
智「そうだねー……雅紀も王子だもんね。」
翔「あいつ、俺らのこと覚えてるかなー。」
智「覚えてるんじゃない?雅紀のことだもん。」
翔「だな。」
……翔とふたりで笑っている時さえ、智から目が離せない。
その仕草ひとつひとつが、はっきりと俺の目に映る。
やっぱり、好きだ。
大好きだ。智のことが。
翔「しかし、相変わらずちっこいなー。智っ
て。」
智「うるさいなー……」
翔「また和とちっこい同士でいちゃこらしてんだろー?」
智「そっ、そんなこと……」
翔、ナイスだよ。今のツッコミ。
智が戸惑うなか、俺は智に飛びつきながら笑顔で答えた。
和「そーだよ♪まさか翔、うらやましいの?」
翔「ちげーよ!」
和「ま、翔には雅紀がいるからね。」
翔「うるせー。」
俺は、いたずらっぽく笑うと智に声をかけた。
和「智、そろそろ城に戻ろ。陛下をあんまり待たせちゃいけないし。」
智「わかった!翔、行くよ♪」
俺らは、智の声を皮切りに城に向かって駆け出した。