悪ノ王子〜哀しく輝く青ノ薔薇〜
□〜第三章〜
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〜智SIDE〜
最近、潤がよく遊びにきてくれるようになった。
こっちからすれば、かなり嬉しいこと。けれど潤はいつも、どこかギクシャクとしていた。
それと、最近問題も出てきた。
智「和。」
俺は、夕食をとっている時に和を呼び寄せた。
和「なあに?」
智「あのさ……なんか最近、食事の量が減ってない?」
最近、どうもシェフのつくる食事の量が少ない。やけに質素だ。
和「そういえば……」
智「なんなんだろうね……ネズミでもいるのかな?もしくは泥棒とか……」
和「この城に入る泥棒とか、度胸ありすぎでしょ。見つかれば一発で処刑だよ?」
智「でも、身内がやってるとか……ほら、王室騎士って庶民が多いじゃん?兵士も……」
和「あー……智がいいたいのは、その庶民が食料を盗んでいるかもしれないってこと?」
智「そういうこと。」
庶民ならやりかねない。食料に飢え、どこか狂っている。
でも、一体だれが……
智「……ねえ、和。」
俺は、ナイフとフォークを置いてゆっくりと口を開いた。
智「ちょっと、明日からこの食料減少の理由を調べてきてくれない?」
和「おおせのままに。」
智「そんなかしこまらなくていいけど……で、みつけたらすぐに捕まえて!」
和「その後の処理は?」
智「考える。でも、処刑って考えといていいよ。」
こんなにさらりと"処刑"と口にできたこと、自分でも驚きだ。
和は、一瞬いぶかしげな顔になったけれどすぐにまた微笑んで、ひざまづきいつもの声でいつもの言葉を発した。
和「御意。智様。」