悪ノ王子〜哀しく輝く青ノ薔薇〜

□〜第五章〜
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〜翔SIDE〜

翔「海ノ……国、の?」

そう聞いて、まず思い浮かんだのは、智の顔だった。

俺は、智の想いを裏切ったに等しいことをした。

けれど……智が、そこまでやるとは思っていなかった。

なるほど、やはり"悪ノ王子"と名をあげるだけある。それでも……あまりにも、残虐すぎる。

翔「っ……」

……憎い。

憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!!!!!!

俺は、唇を血がでるくらい強く噛み締め、ベッドシーツを思い切り握りしめた。

智が……いや、智という名の"悪ノ王子"が憎い!

なぜ自分の兄弟を……俺の愛する人を殺した?

俺を自分のモノにしたいから?ふざけんな!

−許さない。

俺は、あいつを絶対に許さない!

俺は、ベッドから起き上がりアルに尋ねた。

翔「……アル。船はすぐに用意できるか?」

ア「へ?あ、ああ、船ですね?小さなものなら、私のがあります。」

俺は、ベッドから立ち上がりかけてあった外出様の上着を羽織った。

ア「あの、王子……」

翔「アル。お前のでいい。いますぐ船を出せ。海ノ国へいくぞ。」

ア「今からですか?ならば、智王子に連絡を……」

翔「それは不要だ。俺が行くのは、王宮ではなく……海ノ国の、村だ。」
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