悪ノ王子〜哀しく輝く青ノ薔薇〜

□〜第六章〜
2ページ/8ページ

〜和SIDE〜

固めていた髪をふんわりと降ろし、前髪をきちんとまとめ、青いカラーコンタクトをつけ、智のクローゼットから拝借した王子服を纏う。

そんな、"偽智"になって俺は智の前に姿を現した。

智は、案の定驚いていた。……そりゃそうか。

智「えっ?か、和?」

和「んふふ、似てるっしょ?ま、いつつごだから当たり前だけど。」

俺は、にこりと笑ってまたつづけた。

和「……覚えてる?よくさ、小さい頃こうやって遊んだよな。慣れないカラコンつけて、お互いの格好してさ。」

智「ああ……なんか潤が眉毛が邪魔でだれにも似てなかったんだよね!」

和「そーそー。翔が俺の格好するとすげー似てるんだよな。雅紀もお前の真似してさ。」

懐かしい、遠い過去の話。けれど、それはもう戻らない。

お前はその罪を償うと言うけれど……俺は、そんなの見てられない。

だから……

智「……でも、いきなりどうしたのさ?俺の格好するなんて……」

和「……ねえ、智。俺も……わがまま、言っていい?」

智「え……?」

和「ねえ、いいっしょ?いつも智もわがまま言ってるんだから。」

智「う゛っ……わかったよ。いいよ?」

和「じゃあ……」

俺は、自分の召使の服を智に向かって放り投げた。

智がうまくキャッチしたのを確認すると、俺はにこりと笑ってまた口を開いた。

和「服、交換しよ?俺も、智の着たしさ……智も着てみて?」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ