悪ノ王子〜哀しく輝く青ノ薔薇〜
□〜第六章〜
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〜和SIDE〜
固めていた髪をふんわりと降ろし、前髪をきちんとまとめ、青いカラーコンタクトをつけ、智のクローゼットから拝借した王子服を纏う。
そんな、"偽智"になって俺は智の前に姿を現した。
智は、案の定驚いていた。……そりゃそうか。
智「えっ?か、和?」
和「んふふ、似てるっしょ?ま、いつつごだから当たり前だけど。」
俺は、にこりと笑ってまたつづけた。
和「……覚えてる?よくさ、小さい頃こうやって遊んだよな。慣れないカラコンつけて、お互いの格好してさ。」
智「ああ……なんか潤が眉毛が邪魔でだれにも似てなかったんだよね!」
和「そーそー。翔が俺の格好するとすげー似てるんだよな。雅紀もお前の真似してさ。」
懐かしい、遠い過去の話。けれど、それはもう戻らない。
お前はその罪を償うと言うけれど……俺は、そんなの見てられない。
だから……
智「……でも、いきなりどうしたのさ?俺の格好するなんて……」
和「……ねえ、智。俺も……わがまま、言っていい?」
智「え……?」
和「ねえ、いいっしょ?いつも智もわがまま言ってるんだから。」
智「う゛っ……わかったよ。いいよ?」
和「じゃあ……」
俺は、自分の召使の服を智に向かって放り投げた。
智がうまくキャッチしたのを確認すると、俺はにこりと笑ってまた口を開いた。
和「服、交換しよ?俺も、智の着たしさ……智も着てみて?」