星の輝きと僕等の青春

□05star
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「っはぁ、はぁっ…」

走りついた先は屋上庭園。




見上げれば真っ青な空。

あぁ私、何で逃げてきたのよ。

喧嘩しないで、ってそう言えばいいだけじゃない。

自分の弱さに、涙が出てくる。


「っは、」

声を押し殺し、一人うずくまって泣いていた。







「〜っ、」







「美月、さん?」





私の名前を呼ぶ、

颯斗君の声。



「っ、は、やと君…」


制服の袖で、目もとをぐいっと拭いて、
声がした方を向く。


「泣いていたの、ですか?」



「っ違うよ、目にゴミが入っただけ」

なんて下手な言い訳なんだろう。


颯斗君は、そんな私に苦笑してから、
私を優しく抱きしめた。


「泣いても、いいんですよ」

柔らかくて、優しい声。


涙腺が崩壊した。


「っふ、ぁ、」


声を必死に抑えながら、颯斗君の胸で
静かに泣いた。


















「落ち着き、ましたか?」

「うん、ありがとう」

「いえ、大したことはしていませんよ」




「颯斗君は、優しいね」

「何故ですか?」

「私が泣いた理由、聞かないじゃない?」
「容易に聞くのも、不躾ですよ。」

「そうだね、」

私達は微笑み合う。


「ね、颯斗君。」

「何でしょう?」

「ちょっと相談に乗ってくれない?」




颯斗君は、ゆっくりと頷いた。





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