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□君との距離、5センチメートル
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「おい、チャイナ。勝負でィ」
私の気持ちに気付かない、君は馬鹿だ。
「いいアルヨ!勝負ネ!クソサド!」
そんな君が好きな、私も馬鹿だ。
いつもの公園で。
いつもの喧嘩の始まり方で。
いつものテンションで。
今日も君が相手の、たちの悪い喧嘩が始まる。
君の刀。
私の傘。
ふたつがぶつかり合い、金属音を発てたとき。
Q,君と私の距離。
A,5センチメートル。
空が、綺麗なオレンジ色に色づき始めた時君はいつものように刀を鞘にしまう。
その仕草に、心臓がどきり。
「逃げる気アルか」
我ながら、可愛くない台詞だ。
「俺はお前みたいに暇じゃないんでな。」
にやりと笑い、手を一度だけ振ってから、彼は公園を出る。
君が消えた瞬間の虚無感とは、計り知れないものだ。
あぁ、私は君というものに、
どっぷりとハマってしまったらしい。
君無しでは、生きていけない。
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