全てが染まる前に
□第一話
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「お早う御座います。唯様。」
「えぇ、お早う御座います。」
背の低い女が、窓の外を見つめている1人の女に声を掛けた。
「早速で、申し訳ないのですが…」
「分かっています。今から向かいましょう。」
「酒を出せ〜!!酒だ酒ェ!」
「お客様、これ以上暴れられては、」
「暴れるだとォ?客にそんな口訊ぃていいのか?」
「失礼します。」
「あ、唯様っ!!」
「お、良い女が来たなぁ、おい、女。
俺の相手をしろ。」
「分かりました。」
女は、俗に、妖怪と呼ばれるものに近付いた。
隣に座った途端、女は懐から1枚の紙を取りだし、言の葉を噤む。
「水土空生、神々の力を借り、この者を、排除します。」
言った途端、女は光に包まれる。
人差し指と中指に挟まれていた紙が
光と共に消えていく。
そして次の瞬間、騒いでいた妖怪は消え去った。
その場がしん、と静まる。
油屋に来て3年、宮地 唯。
人呼んで、"排除師"
私の仕事は、命の灯火を消す事。
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