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□君色carbonic acid magic
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ぱちり。
夕焼けの光に、目が覚める。
彼と家で映画を見ていて、
寝ちゃったみたい。

「起きた?」
彼が、私に優しく話しかけた。
いつの間にか私には、布団が掛けられていて、私は彼の優しさに入り浸る。

「そんなににこにこして、どうしたの?」
"貴方のこと考えてたから"
心臓が、そう言っていた。
でも私、そんな言葉言えないから

「何でもないよ」
ってそう言ってはぐらかす。
「そう?ならいいや」
彼は、そう言いながら私の大好きなほっとここあを差し出した。

「ありがと、」
私は、短くそう言ってここあを手に取り、ふーっと息をかけた。
湯気が、はいた息に乗って、消えていく。
ごくり、
ここあを飲むと、口の中に、あったかい甘みが広がる。

「美味しい。」
小さな声でそう言った。
「良かった。」
彼は、そう言いながら、氷の入ったグラスと、350mL入りの炭酸の缶を持って来た。
「また、炭酸飲むの、好きだね」
「美味しいのに。何で嫌いなの、」
「だって喉がパチパチするから」
「そこがいいのに。しゅわしゅわして、」「それもあんまり好きじゃないやぁ」

"そっか"
彼はそう言うと、ぷしゅりと音を立てながら炭酸の缶を開けた。
氷の入ったグラスに入れると、カラン、と心地いい音が鳴る。

窓から、ふわりと秋の風が吹いてきた。


ごくり、ごくりと炭酸を飲み、にこりとする彼を見た。
炭酸に嫉妬した。

「ひとくち、ちょうだい?」
彼にそう言って、炭酸を貰った。
少し控えめに、くちに含む。

パチパチ。しゅわしゅわ。
ひとくち飲んだところで、ギブアップ。
ごくりと必死に飲み込んで、ふぅっと
息をつく。

そんな私を見て、くしゃり、と笑う君。
あ、
今度は心がパチパチ。しゅわしゅわ。
私の中で弾ける。

君色carbonic acid magic

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