狂想曲

□空回りの人生。歪んだ道
1ページ/1ページ




「新羅さん。もう疲れちゃいました」

「じゃあ僕に抱きつけばいい。少し休憩しよう、ね?」

「でも時間は待ってくれません」



目頭が熱くなる。泣いちゃいそうだよ
上手くいきそうなのにいかなくて空回り
それだけで泣きそうになるなんて、情けない私



「悔しい訳じゃないんです」

「そうだね」



優しく頭を撫でてくれる新羅さん
そういう優しいところがたまらなく



「好き…………」



思わず出た言葉
今までも何度も発したけど答えは決まって同じ



「ありがとう。けど、ごめんね」

「分かってたんで大丈夫です」



いつも本当に欲しいものは少し手に届かない

断るなら優しくしないで
肩を震わす私を抱き締めないで
そんなに優しくされちゃ、そんな半端な断り方じゃ期待しちゃうから
いっそ酷く突き放してよ

新羅さんの答えは人によっては"付き合えない"じゃなくてもっと別の答え
だから私は絶対信じない
新羅さんの答えが"NO"だなんて



「苦しいの?」



ついに流れた涙が頬を伝う



「大丈夫。苦しみは誰にでもある平等なものだから」



そんなの知ってるよ
なら何?笑って済ませばいいの?
もう分かんないよ、バカ!



「苺は難解に考えすぎなんだよ」

「もうめんどくさいです……」



淡々と終わらせちゃえばいい
"病んだ?"言われなれた言葉はもう嫌になったから
もうやんわり終わればいいじゃんか



「夢や希望、生きてる意味とか別にそんなのは必要ないんです」

「苺には何が必要なの?」

「具体的で分かりやすい機会を下さい」



もう泣き疲れちゃったんです
綺麗事はもううんざり



「見栄はらないで。僕がいるから、僕を頼ればいい」



だからやめて!そんなこと言われたら優しさを、新羅さんを求めちゃうから
心の弱いとこ触らないで

もうほっといて。置いていって
歪んだ道はもう端正できないから



「もう最低だよ、私……!」



泣きじゃくる私に回した腕を強める新羅さん
新羅さんの腕は強くて暖かくて安心するのに
私のものにはなってくれないんだよね

人生って複雑
私は人生が何かも分からないまま生きてる
それだけなのに幸せって思えばいいの?



「もう分かんないです」



小さく呟いた言葉は闇に溶け込んだ



空回りの人生。歪んだ道

新羅さん。貴方が欲しくて手を伸ばすのに
決して届くことはないんだね

空回りの人生は辛くて涙色
歪んだ道はもう真っ直ぐにはならない




参考:アイロニ(VOCALOID)


.
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ