□顔と彼女と男
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〈新羅〉


「セルティ。僕は最低な男だ」

ー新羅?どうかしたのか?ー

「まさに無明煩悩。嗚呼どうしたものか」

ーだから何なんだ!とっとと話せ!ー



セルティが怒り気味に言うとお手上げのポーズを取り、重々しく口を開いた

深く、深く、溜め息をついて



「恋をしてしまったんだよ。…首がある子に」



予期せぬ言葉に驚愕を露にするセルティ
耐えきれなくなって部屋を飛び出た






「…なるほどな」



セルティは誰かに相談をしたくて一番信頼できる平和島静雄の元に来た

静雄は煙草をふかして耳を傾けていたが不意に喋り出す



「ま、いいことなんじゃねーの?お前にはちと酷だけどよ」

ー確かにあの変態が普通になれるのはいいことだが…ー

「寂しいのか」



見透かした様に見つめられたセルティは慌てふためく



「焦るこたーねぇ。当たり前だからな」

ー……私はどうすればいい?ー

「そいつがどんなやつか、確かめればいいだろ?」



なるほど。そう呟いてセルティは去った
バイクに乗っているのに音もなく





ー新羅!お前が好きな女に会わせてくれ!ー



家に帰るなり頭を下げるセルティ
新羅は早速彼女を呼び出した



「もしもし苺?今から僕の家に来てくれないかな?」





ピンポーン
直ぐ様ドアに駆け寄る二人

ガチャリ



ー「いらっしゃい!」ー

「ぁ、お邪魔します…」



顔が表れた
新羅はとても嬉しそうに、セルティは目を見開いて言葉を失う



ーま、て…その顔……ー

「君に似ているけど全くの別人だよ」



苺の顔はセルティそのものだった



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