□暗闇の先に見えるもの
1ページ/2ページ




「全然俺のこと分かってないよ」



唐突に突きつけられた言葉は痛かった

思わず手を握る力を強くする
湿っていてひどく動揺しているのが嫌でも分かった



「分かってるよ、一番、誰よりも」



少なくとも自分では分かってるつもり
ううん。絶対分かってるもん
正臣が好きなものは何でも分かるし、嫌いなものだって



「苺が知ってるのは上辺だけの俺」

「上辺だけ……?」

「本質を見てないんだよ。正確には見えてない」



本質?正臣の、本質?
ぐるぐる頭がぐちゃぐちゃになって気持ち悪い



「でも俺は苺が好きだよ」

「私だって好きだよ!」

「だからこそ俺を見て欲しい」



スルリ。正臣が取り出したのら黒のハチマキみたいなもの
それを手にこちらへ歩を進める



「目、瞑って?」



言われた通りに目を瞑ると目の上に布生地の感触



「目を隠せば本当の俺が見えるだろ?」



そう言った正臣の顔は見えなかったけど
悲しげに笑った気がした



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ