毒
□暗闇の先に見えるもの
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「全然俺のこと分かってないよ」
唐突に突きつけられた言葉は痛かった
思わず手を握る力を強くする
湿っていてひどく動揺しているのが嫌でも分かった
「分かってるよ、一番、誰よりも」
少なくとも自分では分かってるつもり
ううん。絶対分かってるもん
正臣が好きなものは何でも分かるし、嫌いなものだって
「苺が知ってるのは上辺だけの俺」
「上辺だけ……?」
「本質を見てないんだよ。正確には見えてない」
本質?正臣の、本質?
ぐるぐる頭がぐちゃぐちゃになって気持ち悪い
「でも俺は苺が好きだよ」
「私だって好きだよ!」
「だからこそ俺を見て欲しい」
スルリ。正臣が取り出したのら黒のハチマキみたいなもの
それを手にこちらへ歩を進める
「目、瞑って?」
言われた通りに目を瞑ると目の上に布生地の感触
「目を隠せば本当の俺が見えるだろ?」
そう言った正臣の顔は見えなかったけど
悲しげに笑った気がした
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