黒子のバスケ小説

□確かにあなたはー…ver黄瀬
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ミーンミーンミーンミーン

蝉の声が聞こえ始めて数日のある日。
その日は今まで以上に暑い日だった。

6時間目が体育の授業で女子の方はどうやらマラソンをやることになったらしい。
その光景をたまに見つつ男子はサッカーをやっていた。
そんな6時間目が終わり見事に活躍した男子バスケ部部員の俺、黄瀬涼太は部活へ行くために体育館を目指していた。
そのときである。

「あれ、八神っち?」




ミーンミーンミーンミーン・・・・・・。

彼女の体が急に傾いた。



「八神っち!!」

俺は、部活で鍛えられた体の力を最大限に発揮し、彼女を腕の中におさめた。

「大丈夫っスか?!」

俺が声をかけると、彼女は少しぼーっとしたあとすぐにお礼や言い訳をすこしの弱い笑みとともに言い始めた

「ありがとう黄瀬君大丈夫だよ、ちょっと暑くてクラッとしただけだから・・・。」

とても大丈夫そうではなかった。
顔はいつもよりも火照っており体に力が入っていなかった。

「全然大丈夫そうじゃないっスよ!
 熱中症?今日マラソンだったし・・・。とにかく日陰で休んで何か飲み物を飲んだ方が良いっスね」

そういって彼女を抱き上げようとしたら
彼女はゆっくりと瞳を開き笑みを作りかけたが、俺の方を見て途中でその動作は止まった。

彼女の不思議な金とオレンジ色の瞳は見開かれたままとまっており
なにかに、びっくりしているかのようだった。

「あ・・・れ・・・?」
「どうかしたんスか?」

何かを言った彼女に聞き返してみると。
今度は、なにかに納得したような表情になった。
なんとなく、火照っていた顔も涼しげになっていた。


「 涼太 」


「え・・・?」
いつも名字に君付けの彼女が俺の名前を呼び捨てた。
そのことにもびっくりしたが、このときの彼女の表情がとても、優しくて・・・。


「ありがとう、黄瀬君」

もう名前ではなかったけれど、そのときの八神っちに俺はうれしくて、でもなんだか暑くなったった。



ミーンミーンミーンミーン

蝉の声が聞こえ始めて数日のある日。
その日は今まで以上に暑い日だった。

俺は心配して、さらにびっくりして、今度はうれしくなった。

そして君は最後にとてもきれいに笑った。
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