黒子のバスケ小説

□それはありがちなお話だけれど…。
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「今日の1位は蟹座のあなた!
 どんな事も良いように進む日です!いろんな事に挑戦してみると良いでしょう!
 そんなあなたのラッキーアイテムは 好きな異性 です!」

「・・・。」

男子バスケ部期待のエースこと緑間真太郎は毎日の日課である「 おは朝占い 」を見ていた。
自分の蟹座が1位という事で満足していた彼は、ラッキーアイテムを聞いて固まってしまった。
実際、人がアイテムなどというのはどうかと思うが、おは朝信者の彼にはそんな思いはなかった。
まさに、おは朝は絶対なのである。


「これは、チャンス・・・なのか・・・?」

そう彼には今現在思いを寄せている異性がいた。
彼と同じクラスで男子バスケ部のマネージャーをしている八神 はるである。
思いを伝える事に少しためらいを持っていた彼は今日の占いによってこれを機に思いを伝えるべきか迷った。
が、
「 人事を尽くして天命を待つ。まさに今天命が下ったのだよ。」
考えを初めてすぐに彼は決意した。
今日は彼女に思いを伝える事を・・・。



* * *



今日も高尾によってチャリアカーではやめの登校をした彼は八神を待つため教室で本を読んでいた。

「真ちゃん今日はやけに機嫌がいいね〜」
なにやらニヤニヤした笑みを浮かべた高尾が言う。

「当たり前なのだよ。今日の蟹座は1位なのだからな」

「ふ〜ん(まー俺も見たけど)それだけじゃなさそうだけどね〜」
なおも何か思惑ありげな顔の高尾に

「どういう意味なのだよ・・・。」
「べっつに〜、お!」
高尾の視線の先にいたのは緑間の思い人八神はるが教室に入ってくる時だった。

「おっはよ〜八神ちゃん!」
「おはよう高尾君。今日も元気だね。」
楽しそうに笑う彼女

「もちろん!じゃあ俺はちょっと用事あるから。じゃあね〜!
  (ボソッ 真ちゃんがんばりなよ」
そういって彼は教室を出て行った。

「( !  まったく、当たり前なのだよ。今日も人事を尽くすのだよ)」

「おはよう緑間君!」
「おはようなのだよ。」
「あれ?緑間君今日はラッキーアイテムもってないの??」
さっそくの彼女の質問。
そして、決意を胸に彼は言った

「おは朝曰く今日の蟹座は1位なのだよ。だがそんな日にもラッキーアイテムは必需品なのだよ。」
彼の台詞にその重要性を知っている彼女はうなずく。
「だから・・・。八神、俺から離れないでいてほしい」
彼の台詞に疑問符を思い浮かべる彼女。

そしてある結論に行き着いた。
「そっか、私が何かアイテムを持ってるんだね!
 でも、それなら貸してあげるよ。どれかな?」

まったく的外れな結論であったが、普通の人ならそう考えるだろう。
まさか、誰も人間がアイテムなどとは思いも寄らないだろう。

「違うのだよ。お前がそうなのだよ」
真剣な緑間の顔を見た彼女はまた考える。

そしてまた新たな結論を出す。
「わかったわ、同じクラスの女子とか、マネージャーとか、隣の席の人とかね!
 任せて!緑間君とはよく行動するから問題ないね!
緑間君の役に立てるのならうれしいわ!」
そういって、とてもうれしそうに笑った彼女はとても輝いて見えたが、結論は全く違った。

「ちがうのだよ・・・。」
そういって彼は、今日のおは朝を録画した携帯を取り出した。


「今日の1位は蟹座のあなた!
 どんな事も良いように進む日です!いろんな事に挑戦してみると良いでしょう!
 そんなあなたのラッキーアイテムは 好きな異性 です!」


「と、言うわけなのだよ。八神・・・?」
緑間が携帯をしまい彼女の顔を見ると
彼女の顔は真っ赤になっていた。

「え、あ、あの、その、つまり、でも・・・」
混乱してしまった彼女に彼はため息を一つこぼすと

「つまり、俺はお前が好きなのだよ!
 だから俺から離れないでほしいと言っているのだ。
今日も、そしてこれからも・・・。」

「う、うそ・・・」
「嘘ではない本当の事なのだよ!
 それとも、お前は嫌なのか?俺のそばにいるのが・・・。」
彼女の反応にいつもの自信がどこかに言ってしまった彼。

だが、
「そんなことない!わ、私も緑間君が好き!
ずっとそばにいたい!
でも、私なんかじゃあ・・・」

緑間にとって今はまさに人生で一番うれしく思ったときだった。
自分の思い人も自分の事を思ってくれていて
さらに、今彼女の気持ちと自分が一つになったようだった。
「お前なんかじゃ、ないのだよ!
 俺はお前が良いのだよ」
そういって彼女を抱きしめた彼の顔は今までにないくらいの満遍の笑みを浮かべていた。

そして、彼女の顔も彼と共鳴しているかのごとくきれいだった。




それは、ありがちなお話だけれど、本当におこった幸せなお話なのだ。
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