黒子のバスケ小説

□明日からは、あなたと夏休み
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どうも、八神はるです。
今日は1学期最後の日、つまり終業式の日です。
最後の日、とは言っても夏休みには部活があるわけで、明日も変わらず登校するわけなのだが(ちなみに、私は男子バスケ部のマネージャーをしています)
クラスメイトの人たちや、友達に会えるのは今日が今学期最後というわけである。
そして私は、学校へ行くための支度を終え、今赤司君と学校へと登校中です。

「赤司君。」
「なんだい?はる」

私がずっと気にしていた事を聞いてみようと彼、赤司征十朗君の名前を呼んでみると、
彼は、こちらを一瞬見て返事をした。

「うん、あのね・・・その・・・赤司君は夏休みの予定って決まっているの?」
少し詰まった後に思い切って聞きたかった事を聞いてみた。
「ああ。始まりから終わりまで予定をつめてあるが、なぜそんな事を聞くんだ?」
「あ、そうなんだ・・・。理由、う、う〜ん特にないよ!」
少し期待をしていたが、予想取りの答えが返ってきて私はすこしがっかりしたうえ、まさか理由を聞かれるとは思っていなかったから少し慌ててしまった。
赤司君の予定はだいたい部活でうまっている事だろう。
それ以外が少し気になるが、赤司君にもいろいろあるんだろうな。誰かとお出かけだったり、とか・・・?

「そう?まあ、いいけど」
自分の考えに一人気分がだんだん沈みかけて来てた所への返事に現実へと思考が引き戻された。
「うん。あ、そうそう・・・」

それから赤司君とは部活の話や授業の話などをして登校した。


* * *


「・・・では、諸君充実した夏休みを過ごしてください。」

校長先生のお話が終わり体育館から教室へ戻ろうとしていた時
「八神さん!ちょっと待って!」
 「え、はい?」 
呼ばれて振り返ってみると、そこには微かに見覚えがあるような男子が私に向かって走って来ていた。
そして、私の前に止まる。
「あの、俺の事覚えてますか?」
「え、あ、たしか・・・。前にプリントを落としたときに拾ってくれた人ですか?」
突然の質問に一瞬戸惑う私。
「よかった!うれしいよ俺の事覚えていてくれて!
 俺、実はサッカー部の部長なんだ。
 八神さんの事は前から知っていて・・・。
 あ、ここじゃなんだし、放課後体育館裏に来てくれない?」

よほどうれしかったのか勢いそのままに話し始めた彼に私は少し驚きながらちょっとビビっていた。
私は、もともと人とお話をするのはあまり得意ではないが、男の人となるとそれはさらにひどくなる。
ようするに、男性恐怖症 と、いえるかな・・・。
慣れてる人やいい人と知っていると、なんとか話はできるが、初めての人は周りにフォローできる人がいないと言葉を発する事すらできなくなってしまう。
ちなみに、この人はプリントを拾ってくれた人だから、いい人 に分類されているから話せるわけです。

話を戻します。

「えーと、はい。いいですよ?」
特に、何も考えずに返事をしてしまったが、いいよね?
「本当に?!やった!!じゃ、放課後だよ!忘れないでね!!」
なぜだか、とてもうれしそうに彼は走り去って行った。

「はる、どうしたんだい」
彼の走り去って行った方向を呆然と見つめていたら後ろから、赤司君に声をかけられた。
「へ?あ、ううん。なんでもないよ、教室行こうか」
「ああ。・・・・・・。」
赤司君は、私の見ていた方向を少しじっと見ていたがやがて歩き出した。


* * *


時は流れて放課後

私は結局、さっきの男子の事を少し気にしていたが、それよりも赤司君の予定が気になって先生のお話をほとんど聞いていなかった。
たまに、赤司君がこちらを見ていたが、私はそれどころではなく、すぐに忘れてしまった。

「はる、今日はなんだかぼーっとしていたようだけど、やはりなにかあったのか?」
帰りの支度をしていた私に、既に支度を終えていた赤司君が話しかけて来た。
「え、な、なにもないよ!あ、そうそう、暑いからだと思うよ!」
我ながら苦しいと思ったが、まさか  あなたの事を考えていました。  なんて言えるわけもなく。
でも、暑いのは事実だし・・・。

「・・・。なら帰るぞ。」
納得していないようだが逃してくれるみたいで赤司君は帰ろうと言ったが
このあとは・・・。
「ごめんなさい!このあとは、ちょっと呼ばれているの、だからいくね!
 赤司君、先に帰っていていいよ!」
支度を終えた鞄を持ち私は教室から出た。

「・・・・・・。」
赤司君が私を見つめていたが既に後ろを向いていた私には知る由もなかった。



「すみません!遅くなりました!」
走って体育館裏までくると、そこにはもうあの男子生徒が来ていた。
「いいよ!俺も今来た所だから。」

「それで、私に、なんの用でしょうか?」
疑問に思っていた事を聞いてみる。
「うん。いろいろ言いたい事はあるけど、
 あのさ、八神さんさ、夏休み俺と出かけない?」
何を聞かれるのか予想は何もしていなかったけれど、その質問はきっと、予想をしていても予想外になっていただろう。
とにかく意味が分からなかった。
  「え、あの、はい?」
「あー、つまり、開いてる日に俺とデートしないかって聞いてるんだ。」
ますます意味が分からなかった。
デート?それって・・・
「あの、私、あなたとあまりお話もした事ないし、なにか違う気が・・・.」
混乱状態の私に彼は一歩ずつ近づいて来る。

「違わないよ!俺は前から君の事を知っていて好きだったんだ。
 だから、夏休みを君と過ごしたかったんだ!」

なんだか気持ちが悪くなって来て頭がくらくらする・・・。
彼から少しでも遠ざかろうとして、一歩、また一歩と下がって行く。
前からは、一歩、また一歩とつめて来る。

「どうなんだ?自分で言うのもなんだけど、俺は顔は良い方だし、部活の部長という地位もある。
 君にふさわしいと思うんだ!」

とうとう、背中が壁につく。
よくわからない恐怖が私の中を巡る。
「や・・・(やだ!この人怖い!)」
頭に浮かんだのは 赤 。
「(赤司君!)」
視界がぼやけて来てしまった、涙がたまったんだ。

手が伸びて来た
「さあ、どうなの?」
もう少しで私に触れるという所で私は目を閉じた。

ガシッ

何かをつかむ音、そして、

「その手をどけろ。」
おこっているが聞き慣れたとても安心する声、
目を開けると赤司君が男の手をつかんで私の前にたち私をかばっていた。

「な!赤司。君には関係ないだろ!俺は、八神さんを誘っているんだ!」
「関係ない?何を言っているんだ。はるの予定はいっぱいだ。
  君なんかといる時間はない。帰りなよ。」
赤司君の言葉を少し不思議に思いつつ、彼の服を少し握る。
それだけで、まだ元凶は目に前にいるのに恐怖は消えた。
「んだと!」
ギュッ
「くっ!!てめ、なにす」
赤司君の手にさらに力が入る。
「帰りなよ。それとも、  僕に  逆らうつもり?  」
赤司君がそういうと男は「くそ!勝手にしろ!」と言って走り去って行った。

「はるだいじょうぶかい」 
「うん。ありがとう、でも、どうして?それに予定がいっぱいって・・・?」
もう、大丈夫だった。
そして、振り返った赤司君に疑問を言ってみる。
「君が変な男に捕まってると思ってね、帰らずにここに来てみたんだよ。
 それと、君の予定はいっぱいだろう?」
そういう赤司君。
「少しくらいは開いていると思うのだけれど・・・?」
首を傾げてそういうと、
さも、それが当たり前かのように言い切った彼


「何を言ってるんだ、君も、俺も予定はいっぱいだろう?
 ずっと一緒にいるんだから。」



そう、これは当たり前なんだろう
彼が言うのだから。
きっと今年は素敵な夏休みになる。
なぜなら

 明日からは、あなたとの夏休み なのだから・・・。
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