黒子のバスケ小説

□私の好きな水色は彼の色
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「あれ?はるさん、携帯を買ったんですか?」
お店の前でばったり会った彼に突然話しかけられた。
突然のことに私はびっくりしたが、それは別に彼の影が薄くて気がつかなかったわけではない。



その日は、部活が休みということで、以前から考えていた携帯購入計画を実行するために携帯ショップに立ち寄っていたのだ。
機械の事はよくわからないから、なんとなく目について気に入ったデザインの物を選んだ。
ある程度、性能もいいらしいが初めての購入、  しかも一人で  ということで緊張してしまっていた私は説明をほとんど聞けていなかった。

なんとか購入を終え、お店から出た瞬間、うれしさと達成感が一気に押し寄せて来て
携帯の箱が入った紙袋を手に私はつい笑みを漏らしてしまった。


つまり、そのときに彼に声をかけられたため、私はびっくりしたというわけだが。
話を戻そうか。落ち着け私。

「黒子君! そうなの。」
テンションがいつもより高い私の返事。
きっと彼が読心術を使える人であったとしても、その力を使わないでいても私の心は透けて見えていたのだろう。

案の定彼は
「うれしそうですね。」
と、言って微かに笑っている。

「はい!気に入ったデザインの物を見つけられたんです。」
少しいつものテンションに戻してみようとがんばった。

「そうなんですか?よかったら見せてくれませんか?」
黒子君の言葉に、私はうれしくてその場で箱を開けようとしてしまった。
「あっと、ここじゃあ通行の妨げになっちゃいますね・・・。あそこの公園に行きませんか?」
勢いをなんとか沈めて、近くに見えた公園を指差す。
「そうですね。」




公園のベンチに座ると、私は早速箱を取り出し開けた。

「この携帯を買ったんです!」
箱から取り出したのは、水色のスマートフォン。
女の子向けように、全体的に柔らかい感じのするかわいらしいものだ。

「たしかに、かわいらしいですね。」
どうやら悪くないらしい。
「ふふ、いろんな色があったんですが、この色が一番良かったんです!」
携帯をぎゅっと握りながら言う。
「そうなんですか、でも、なぜ水色なんですか?」
もっともな疑問なんだろう。

ここで普通は  好きな色  だから。とか、言う所であるが、
私は爆弾発言をしてしまうわけです。

「そうだね、うーん。手に取ったときは何となくこれしかないと思ったんです。
 でも、そうですね。きっと  黒子君の色  だからかな?」
うれしそうに言う私。
だが、彼の方を見てみると、なぜか真っ赤だった。

「あれ?どうしたの?黒子君」
自分としては、爆弾発言をしているつもりはなかったわけだが。
後に彼から聞いた話によると、それは 告白 に近い発言だったわけであって
そのときから、私に好意を持っていた彼は、うれしくて、恥ずかしくて死にそうだったそうです。
当然、それを聞いた私はそのときの彼のように真っ赤になったわけであるが、
それはまた別のお話です。

「あの、はるさん?そ、それは、どういう・・・?」
すこしかみかみの言葉。
「へ?あ、私ね水色が好きな色なんです。
 それで、黒子君のイメージカラーが水色だから 黒子君の色かなって?」
微妙に答えになっていないが、これも彼としてはショックな発言だったわけで・・・。
ちょっとしょげたらしいです。

「そうですか・・・。」
「う、うん?」
あんまりころころと感情をかえない彼に少し戸惑ってしまった
が。
「わかりました(一応ここは喜ぶべき所です。これは彼女は気がついていないだけで、すこしは脈があって・・・。)」
「(?どうしたんだろう)」
このときいろいろ考えていたらしいが、私にはわかるはずもなくスルーしてしまった。

この日はこのまま分かれた。




このときの事がきっかけで少し勇気を持ったらしい彼から
数日後、告白をされてめでたく私たちはつきあう事となった。

そして、私の水色が好きな理由は、ただ好きな色だから というのではなくなって
彼の色だから好き という理由になった。


私の好きな水色は彼の色
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